『中日新聞』福井版2009年1月27日付

教育ローン、各銀行の動向 経済不安背景、申し込み増


大学入試センター試験が終わり、いよいよ本格的な受験シーズンに突入する。受験生は合格すればひと安心だが、保護者は喜んでばかりはいられない。数百万円は掛かる学費や生活費の調達に心配がよぎるからだ。県内に本支店がある銀行の教育ローンの動向を探った。

「前年と比べて明らかに申し込みが増えている」と話すのは福井銀行の担当者。昨年9、10月は前年比で2倍、11、12月も1・2−1・3倍で推移している。担当者は「営業努力もあるが、米国発の金融危機による経済不安も背景にある」と分析する。

用途は入学後の授業料や下宿代以外に、交通費や宿泊費といった受験費用にも適用。東京など遠方での入試に活用できる。

教育ローンを将来の顧客獲得策に位置付けるのは福邦銀行。在学中の元金据え置きと追加融資が可能な学資ローン「まなび隊!」は、卒業後に学生本人が借り換えて返済できるのが特徴だ。

就職して最初の6カ月間は元金返済が据え置きとなり、7カ月目から開始となる仕組み。親からの自立を促すとともに「住宅ローン利用など生涯にわたって主力銀行として取引の継続を」と囲い込みを狙う。

教育ローンの年利はおおむね6%未満と、他の融資より低めに設定されている。そんな中でも、北陸銀行(富山市)は1%台まで引き下げ、利用拡大に力を入れる。

同行は5月8日までの日程でキャンペーンを実施し、給与受け取り指定などの条件を満たせば最優遇金利(変動型、年1・60%)を適用する。主な使途が学費であることから、焦げ付きが少ないのも低利にする理由だという。借入限度額を設定したカードを発行し、在学中はATM(現金自動預払機)で必要額を引き出せる商品もある。

各行とも入学金納付が集中する2、3月はさらに増えると見込む。ほかにも、無利子の県奨学金制度や日本学生支援機構、「国の教育ローン」(日本政策金融公庫)などの公的融資もある。問い合わせは各機関へ。

(原田晃成)