『京都新聞』2009年1月23日付

京大、大量雇い止めへ
非常勤職員 10年度以降


京都大(京都市左京区)が2010年度以降に契約期限を迎える非常勤職員について契約を更新せずに「雇い止め」にすることが23日、分かった。10年度だけで少なくとも約90人が対象となる見込みで、厳しい経済情勢下で新たな職場が見つかっていない職員も多く、学内から「大学の教育、研究活動を支え、経験も身に付けた貴重な人材を使い捨てにしていいのか」と反発の声が上がっている。

10年度に雇い止めとなるのは、05年度に採用された非常勤の事務職員や研究員、看護師らで、1年ごとに契約を更新し、時給制で働いている。京大は05年3月に就業規則を変更し、同年4月以降に採用した職員の契約期限の最長を5年とした。それまでは契約期限の上限がなかった。10年度に契約期限を迎える職員は186人で、これまでに約90人が期限の撤廃を求めている。

京大によると昨年12月の非常勤職員は約2600人で、半数の約1300人が05年4月以降に採用された5年の期限付きの職員。常勤職員は約5400人(昨年5月時点)。

国から京大への運営交付金が06年から07年に約13億円など削減される中、大学は常勤職員を削減し、非常勤に切り替えて人件費を抑えている。京大は「補助的、臨時的な業務に当たる非常勤職員を雇用し、大学の恒常的な業務を遂行するのはやむを得ない」としている。

ただ、研究室や学部の事務室や図書室などでは、削減された常勤職員の仕事を実質的に引き継いだケースもあるという。京大職員組合は「常勤職員と同じ仕事をこなしている非常勤職員も多い。経験を積んだ職員を、5年の期限を理由に雇い止めすれば、無駄が発生する」としており、期限撤廃を求めている。