『長崎新聞』2009年1月20日付

長大医学部の「地域医療枠」を拡大 地方の医師不足対策


長崎大の河野茂医学部長は十九日、深刻化する地方の医師不足に対応するため、医学部の入学者定員の中に設けている「地域医療枠」を、現在の五人から四倍の二十人に拡大する方向で検討していることを明らかにした。学内で最終調整しており、三月ごろ正式発表の見込み。二〇一〇年春入学の学生から適用する予定。

十九日に河野医学部長が県庁を訪れ、金子知事に同大の「離島・へき地医療学講座」の継続を要望した席で計画を示した。

長崎大によると、現在の医学部の入学定員は百五人で、内訳は一般選抜(前期)八十五人、受験生の意欲や適性など人物重視で選抜するアドミッションオフィス(AO)入試が十五人、学士編入枠が五人。このうちAO入試の中に五人の地域医療枠を設け、受験対象者を県内の小、中、高校の出身者に限定して将来の地域での医師確保を目指している。

これに対し、来年度入試からは「地域医療枠」を二十人に拡大する方向で調整。現在のAO入試とは切り離し、県内高校の学校長の推薦による推薦入試を検討している。新臨床研修制度の導入による研修医の県外流出や大学病院離れが地方の医師不足を招いており、学校長の推薦を得ることで大学卒業後も県内に残る可能性を判断する狙いがあるとみられる。

一方、長崎大は医学部入学定員の増員についても、文部科学省に申請する方向で検討している。