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富山大学発 
日本の大学の危機(学長選考の異常さ)を全国に訴える会

教職員の意向調査を無視した今回の富山大学の学長選考は
学問共同体としての大学に求められる
大学自治を蹂躙する暴挙である

全国の大学関係者のみなさんへのアピール

 昨年12月4日の富山大学学長選考において、富山大学学長選考会議(国立大学法人法の定める組織)は、その半数を占める学外委員を中心とする多数の力で、2回の教職員の学内意向調査(教職員による投票)でいずれも2割の支持しか得られなかった、第3位の現学長を再任しました。8割近くの教職員が不信任を突きつけた候補を、学長選考会議が、意向調査の結果を無視して学長に選出するようなことは、これまで国立大学では一度もなかったことです。私たちは、これは、単に一地方国立大学の問題に止まらない、国立大学法人法の下での今後の国立大学全体のあり方に関わる重大問題であると考えています。

 当然ながら、富山大学の中でも大問題になっており、12月10日には、人文学部、人間発達科学部、経済学部の教授会で、12月17日には、理学部教授会で、それぞれ教授会声明が出されています。12月26日には医学部教授会が要望書を、1月7日には薬学部教授会が要求書を、それぞれ提出しました。

 2003年に、多くの大学関係者の反対を押し切って制定された国立大学法人法は、各同数の、学長が任命した学外委員(経営協議会委員から選出)と、教育研究評議会が選出した学内委員で構成される、学長選考会議が学長を選考すると定めています。このように、国立大学法人法は、それ以前の、「教職員の選挙によって学長を選出する」という、大学自治を支える仕組みの根幹を突き崩したため、制定時の衆参両委員会で、「国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ……自主的・自律的な運営の確保に努めること」という「国立大学法人法」附帯決議が採択されています。

 これを受けて、各国立大学が定めている学長選考規則では、東京大学や京都大学のように、学内意向投票の「結果に基づいて」選考するように選考会議を縛っているところもありますが、他方で、富山大学のように、「参考にするために、本学の構成員の意向を調査することができる」と、「参考」に止めたり、意向調査をしないこともできる規定にされてしまっているところもあります。富山大学の学長選考規則制定過程では、「社長(学長)を選ぶのになぜ社員(教職員)が投票する必要があるのか」とか、意向調査の結果は「単なる参考だ」という学外委員の発言がまかり通ったのです。

 国立大学法人化後の学長選考では、滋賀医科大学、岡山大学、新潟大学、山形大学、大阪教育大学、高知大学、九州大学の7大学で、意向投票の第2位の候補を学長選考会議が学長に選ぶという事態が起こっています。しかし、これらの大学の場合は、せいぜい数十票の差で、富山大学のように、意向投票をまったく無視して、2割しか得票しなかった第3位の候補を選ぶという事例は、これまでありません。今回の富山大学の事態は、国立大学法人法の下では、学内意向調査を無視して、一握りの学長選考会議委員だけで学長を選考できるとする前例になるもので、今後、全国の国立大学に同様の動きが広がり、日本の大学における「大学の自治」とそれに支えられる「学問の自由」が一気に突き崩される危険性があります。

 富山大学学長選考問題が、単なる一地方国立大学の問題ではなく、国立大学全体、そして日本の大学全体における「学問の自由」、「大学の自治」に関わる重大問題であることをご理解いただき、「教職員の意向調査を無視した今回の富山大学の学長選考は、学問共同体としての大学に求められる大学自治を蹂躙する暴挙である」とするこのアピールにぜひご賛同いただき、下記のメール署名への署名とメッセージをお寄せいただきますようお願い申し上げます。また、このホームページのURLをお知り合いにご紹介いただき、富山大学で起こっている事態を、全国の大学関係者に広く知らせる取り組みにご協力いただきますようお願い申し上げます。



2009年1月12日



    富山大学発 日本の大学の危機(学長選考の異常さ)を全国に訴える会

上記アピールに賛同される方はこちらの賛同署名にご協力をお願いします。