(高知大)公正な学長選考を求める裁判を支える会ニュースレター NO.9

ニュースレター NO.9
2008、12,24

 公正な学長選考を求める裁判を支える会
 事務局:高知県高知市曙町2−5−1 高知大学教職員組合内
 (TEL/FAX 088−844−1489)


○行政裁判 越年へ!
刑事不起訴への不服申し立ては目下準備中

行政訴訟について9月15日発行の本ニュースNo.8において、裁判地について係争中ということをご報告しましたが、いまだに審理中です。

すでに先のご報告から3ケ月が経過していますので、少しおさらいをしておきます。

・ 本年4月私たちは「高知大学長任命の無効確認」を求める行政裁判の提訴に踏み切りました。
・提訴を受けた高知地裁は第一回口頭弁論を9月19日と決定し、関係者に通知しました。
・ところが、これに対して国側から、東京又は高松の地裁で行うべきであるとの「移送」の申し立てがなされました。
・この国側の申し立ての根拠となったのは、行政事件訴訟法における、裁判は「高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所」(特定管轄裁判所)で行うのという規定です(第12条 4)。つまり、国の申し立てにある「東京又は高松の地裁」とは「特定管轄裁判所」という訳です。
・一方、同じ行政事件訴訟法には、「当該処分又は裁決に関し事案の処理にあたった下級行政機関の所在地の裁判所にも提起できる」(第12条 3)という規定もあります。私たちは、これを拠り所として高知地裁に提訴を行ったのです。
・この争いは私たちの勝利に終わりました。9月12日に高知地裁が私たちの主張の正当性を認めて、国側申し立てを却下したことはすでにお伝えした通りです。
・ところが国はこの決定を不服として、高松高裁に抗告(異議申し立て)を行いました。この結果、9月19日に予定されていた口頭弁論は流れました。
・その後、高松高裁で審理(非公開)が行われていますが、それから3ケ月以上経過した現在も結論は出ていません。弁護団を通じて問い合わせましたが、時間がかかっている理由、今後の見通しについては不明です。

予想以上の長期戦になりつつありますが、大学内の状況を見るに、ますます私たちの裁判の重要性は高まってきています。

一方、これもすでにNo.8号でご報告した、「刑事不起訴に対する不服申し立て」については弁護団と最後の詰めの段階に入っています。もう少しお待ち下さい。


○ 評価が低いのは裁判のせい?
 
「大学評価・学位授与機構」による第一期中期計画の評価が一月に公開されます。様々な状況から考えて、高知大学にとってかなり厳しい評価が予想されます。そのような空気がさすがに ”KY” ぞろいの執行部でも感じ取れるのでしょうか、学長周辺では「機構や文部科学省の評価が低いのは国を訴えるような不届き者がいるからだ」などと言っているようです。

しかし、このような認識は当を得ているのでしょうか?

「大学評価・学位授与機構」による評価は大学から提出された報告書(各学部からの「現況報告書」と大学からの「達成度報告書」)に基づいて行われます。10 月に機構による訪問調査があり、この達成度報告書に対して機構側から数々の厳しい指摘がなされたことは、すでに各学部の教授会でも報告がなされたことと思います。これらの指摘に共通する最もクリティカルな評価は高知大が出した達成度報告書では評価ができないこと、教育研究活動の結果を検証するための根拠となる数値データがほとんど挙げられていないことはそもそも評価する・される以前の問題であるということでした。言うまでもなく、この報告書を書いたのは、裁判を支える会ではありません。執行部が作成したものです。

また、この訪問調査のヒアリングで大学院一元化改革について質問がありました。担当理事が「実態は以前と全く変わりません」と回答して、機構側を仰天させ、さらにはエルダープロフェッサーに関する質疑では,ちぐはぐな応答を繰り返して終いには大学側から定員削減の責任を逆に問う場面もあり、機構委員が好印象を持ったとは言い難い内容でした。裁判についての質問はありませんでした。

更に、次期中期計画に関して文部科学省との「意見交換」が11 月21 日に行われ、文部科学省から本学改革の歴史的経緯や状況に関して無配慮なコメントがありました。これに対して、本学の理事らはまともな説明も反論もできなかったようです。

そして、1 月1 日付けで事務局長(財務担当理事)が転出するのは大学にとって大きな損失ですが、もちろんこれも私たちのせいではありません。

さて皆さん、もしも大学評価・学位授与機構や文部科学省の高知大学に対する評価が低いとしたら、それは執行部の無能のせいでしょうか、それとも裁判のせいでしょうか?


○富山大学長選で意向投票結果(なんと三倍の票差)無視される!!!

さる12 月4 日、富山大学で行われた学長選考において、同大の学長選考会議は現職の西頭徳三氏を次期学長として選任しました。ところが、これは二回にわたって行われた意向投票の結果を完全に無視するものでした。特に第二次意向投票(投票権が専任の教授・准教授、管理職手当てをもらっている職員にある)においては、西頭氏はトップの平井候補の314 票に対してわずか111票しかとれませんでした。

これに対して、富山大学の人文、人間発達、経済の三学部教授会は12 月10 日それぞれの教授会において抗議声明を発しています。

私たちの大学とは状況は異なりますが、国立大学法人における学長選考の問題点が噴出した出来事として、今後の動きを注目したいと思います。

人文学部教授会の声明は以下のURLで見ることができます。
http://www.hmt.u-toyama.ac.jp/seimei.pdf