『新潟日報』2009年1月8日付

県が地域医療学の講座開設へ


県は7日、医師不足対策として2009年度、新潟大大学院に「総合地域医療学」の寄付講座を開設すると発表した。幅広い診療能力を持つ「総合地域医療医」の養成や、医療現場の連携推進を通して、病院勤務医の支援、医師不足の緩和を目指す。

期間は11年度までの3カ年。担当する教授と教員計3人を配置する。県が運営費用として年3400万円程度を寄付。関連費用は09年度当初予算案に計上する。

講座では、総合地域医療医を養成するプログラムの研究開発を行う。医療の専門化・細分化が進む一方で、地域医療の現場では幅広い知識や診察技術が求められる。大学教育から卒業後の研修を通じ、一貫してこうした力を身に付けられるプログラム開発を目指す。

医療現場の連携推進では、テレビ会議システムなどの情報技術(IT)を活用。地域の医師が難しい症例の診断時に新大医師と相談する、医療機関の間で患者の診療情報を共有するといった連携方法を研究開発する。魚沼基幹病院の建設など、医療体制が今後大きく変わる魚沼地域を研究エリアに設定する。

県医薬国保課によると、地域医療に関係する寄付講座はこれまでに全国13県、15大学で開設されている。

泉田裕彦知事は7日の会見で「地域医療を担う人材を育成できる態勢をつくり、魚沼基幹病院に向けた第一歩としたい」と話した。