富山大学 教授会 声明・要望集

学部 (引用日)
人文学部 引用元 1月9日
人間発達科学部 引用元 1月9日
経済学部 引用元 1月9日
理学部 引用元 1月9日
医学部 引用元 1月9日
薬学部 引用元 1月13日
工学部
芸術文化学部

教授会声明

 富山大学人文学部教授会は、本年12 月4 日の学長選考会議の結論に関して、12 月10 日に開催された教授会の議を経て、以下のような声明を発表する。

T 事実経過
 今回の学長選考にあたって、本学では教職員有権者の投票による意向調査(以下、「意向投票」とする)が二次にわたって実施された。学長選考会議は、3人の候補者のうち、いずれの投票においても最下位であった現学長の西頭コ三氏を次期学長として選任した。意向投票の結果は下記の通りであった。
第一次意向投票 第二次意向投票
(全有権者数1148 人、投票率76.9%) (全有権者数618 人、投票率88.5%)
平井美朗 候補 378 票(得票率43.3%) 314 票(得票率58.0%)
倉知正佳 候補 304 票( 〃 34.8%) 116 票( 〃 21.4%)
西頭コ三 候補 191 票( 〃 21.9%) 111 票( 〃 20.5%)

U 選考結果に関する見解
 今回の意向投票では、上記のように学内の教職員の意思がはっきりと示された。確かに学長選考会議規則には、意向投票の結果を「参考とする」と規定されているが、これほど大差のついた投票結果を前にしてなお、得票率20%ほどの最下位候補を学長に選任したこの決定は、他の国立大学法人における学長選考においても類例はない。今回の選考結果は、意向投票を軽視したという域を大きく超えて、それを無視したというべきであり、学長選考会議の良識への期待を大きく裏切るものであったと考えざるを得ない。
 新聞報道は、「意向投票結果がどのように参考にされたか」との記者の質問に対して、金岡学長選考会議議長が「各委員がそれぞれ参考にしたのでしょう」と語ったと伝えている。学長選考会議がこのような通り一遍の説明で、この決定を正当化できると考えているとすれば、その姿勢はきわめて安易であり、教職員・学生あわせて1 万人を超える大組織の運命を左右するという、選考会議に託された重大な責務にふさわしい態度とは到底認められない。
 以上の理由から人文学部教授会は、今回の学長選考結果を異常な事態であり、かつ、大学自治への重大な侵害であると考える。

V 今後の影響に関する見解
 人文学部教授会は、この選考結果が今後の大学運営に深刻な影響を及ぼすであろうことを憂慮する。
 学長選考会議は、意向投票第1位候補ではなく、また、第2位候補ですらなく、最下位の現役学長の続投を決めた。この決定がはたして、今後の富山大学の発展を願った思慮の結果といえるのであろうか。また、選考会議の委員諸氏においては、学長選考と意向投票の意味づけという点で、今回の決定が全国の国立大学法人に及ぼすであろう深刻な影響が視野に入っていたのであろうか。
 わずか2割ほどの支持しか獲得できなかった現学長が引き続き富山大学の長にとどまることは、教職員の衆知を結集した円滑な大学運営を実現するための重大な障害になるであろう。さらには、次回以降の学長選考において、もはや意向投票が無意味なものとなり果てること、したがって、学内の意思とはまったく無関係に学長が選出されるという、今回のような事態が繰り返されるであろうこと、人文学部教授会は、予想されるそうした未来への深刻な懸念を禁じ得ない。
 こうした危機的な状況を打開するために、人文学部教授会は、西頭現学長の大学人としての良識ある決断を求めるものである。

2008 年12 月10 日
富山大学人文学部教授会

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人間発達科学部教授会声明

 富山大学人間発達科学部教授会は、12 月10 日に開催された教授会における議論に基づき、本年12 月4 日の富山大学学長選考会議の結論に関して、以下の声明を発表する。

 今回の学長選考にあたり、本学では2回にわたる意向投票(正式には「意向調査」)が行われた。その結果は、第一次意向投票において平井美朗候補378 票、倉知正佳候補304 票、西頭徳三候補191 票、第二次意向投票では平井候補314 票、倉知候補116 票、西頭候補111票となり、第一次、第二次ともに平井候補が第一位、西頭候補はこれと大差の第三位であった。投票率は第一次が76.9%、第二次は 88.5%であり、今回の意向投票は教育の現場にたつ学内教職員の意思を明確に反映したものと言える。
 しかるに、富山大学学長選考会議はこの意向投票の結果にもかかわらず、事実上学内不信任を突きつけられた形の現職、西頭候補を次期学長として選出した。確かに学長選考会議規則によれば、意向投票の結果はあくまで選考の「参考」となるものである。しかし、第一次、第二次ともに投票総数の2割の支持しか得られず、これほど大きな得票差があった第三位候補を学長に選出した事例は、全国の国立大学法人学長選考において、いまだかつて存在しない。選考会議は、意向投票の結果を「参考」とするのではなく、「軽視」ないし「無視」したと言わざるをえない。
 今回の富山大学学長選考会議の結論は、学長選考において教職員による意向投票が無意味であると宣言したに等しく、大学の自治をいちじるしく侵害するものである。同時に、未来を担う子どもらへの教育という重責を担う本学部としても、市民としてのルール意識形成に背反するこの結論は耐え難い。
 これを容認すれば、次回以降の学長選考においても、学内の教職員の意思とは無関係に、ごく少数の選考委員会の意思による学長の選出が常態化することが危惧される。学長は大学のリーダーとして、1万人を超える大組織を運営していく重責を担うものである。その学長が教職員の意思を無視して選出されるような状況では、健全な組織運営は期待できず、教職員の活力も失われかねない。人間発達科学部教授会は、富山大学の未来に対する重大な懸念とともに、今回の富山大学学長選考会議の結論に対し遺憾の意を表明するものである。


2008 年12 月10 日
富山大学人間発達科学部教授会

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学長選考会議決定に対する経済学部教授会声明

 富山大学経済学部教授会は、先の12 月 4 日の学長選考会議の決定を、大学の自治への挑戦であり、かつ本大学の正常な運営をおびやかすものとして、強い憂慮の念を表明するものである。

 今回の選考会議に先立ち、2回にわたって教職員による意向投票が実施された。いずれの投票においても、得票数の首位は平井美朗氏であり、第2 位が倉知正佳氏、西頭徳三氏は最下位であった。また、第1次意向投票の得票率は、平井候補が43.3 パーセント、倉知候補が34.8 パーセント、西頭候補が21.9 パーセント、第2次意向投票の得票率は、平井候補が58.0 パーセント、倉知候補が21.4 パーセント、西頭候補が20.5 パーセントであった。首位と最下位の候補の票数の差は歴然である。他の国立大学でも、選考会議が意向投票の首位の候補を選出しなかった例はあるが、3位以下の候補が選出された例はなく、今回のように首位との大きな得票の差がある候補が選出された例もない。学長選考会議は、意向調査の結果を真摯に受け止め、尊重して学長を選考する重い責任を負っているはずである。選考会議が最下位の候補を学長として指名したことは、意向投票の結果を明らかに無視するものとみなさざるをえない。

 国立大学法人法では,選考会議は,学内委員と学外委員が同数と定められており、選考会議が学長を選考する権限を持つこととされているが、同法は、憲法23 条が保障する「大学の自治」(「人事の自治」を含む)を尊重する観点から解釈・運用される必要がある。この趣旨は、衆・参両院の付帯決議においても確認されている。

 この点からすれば、学内委員の意見と学外委員の意見とが対立した場合には、学内委員の意見を尊重するのが当然である。また,教職員の意向投票が実施され、そこに教職員の明白な意思が表明されている場合には,その結果を尊重するのが当然である。もし、学外委員が、学内委員の多数意見と,意向投票の明らかな結果の両方を真っ向から否定するような形で学長を選ぶとすれば、憲法23 条および衆・参両院の付帯決議の趣旨に反することは明白である。

 以上の点から、われわれは、選考会議が、教職員の多数意思および学内選考委員の(多数)意思に反して、結果を出したことに強く抗議するとともに、選考会議の決定は無効であると考える。われわれは、選考会議の各委員に対し、今回の選考結果について、教職員に対して十分な説明責任を果されることを強く望むものである。

2008年12月10日
富山大学経済学部教授会
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富山大学理学部教授会声明

 富山大学理学部教授会は、本年12月4日の富山大学学長選考会議の選考結果に関して、12月17日に開催された教授会の議を経て、以下の声明を発表する。

意向調査と学長選考会議の結果
 本学では、教職員有権者による意向調査(以下、意向投票)が二回にわたり実施された。
第一次意向投票(11月14日) 第二次意向投票(11月28日)
(全有権者数1148 人、投票率76.9%) (全有権者数618 人、投票率88.5%)
平井美朗 候補 378 票(得票率43.3%) 314 票(得票率58.0%)
倉知正佳 候補 304 票( 〃 34.8%) 116 票( 〃 21.4%)
西頭コ三 候補 191 票( 〃 21.9%) 111 票( 〃 20.5%)

 学長選考会議(12月4日開催)は、連続して最下位であった現学長の西頭コ三氏を次期の学長候補者として選定した。

今回の学長選考結果に対するわれわれの見解
 一次、二次の意向投票の結果は、本学教職員の約七割が西頭学長のこれまで三年間の大学運営を信任していないことを明確に示したものである。本学学長選考規則の第7条には「学長選考会議は、学長候補者の選考の「参考」とするために、本学の構成員の意向を調査することができる。」と規定されている。大差での最下位候補者を次期学長に選定した今回の選考結果は、他の国立大学法人における学長選考においても類例が無く、二回にわたる意向投票結果を「無視」したと言うべきであり、学長選考会議の見識に疑問を抱かざるを得ない。
 今回の学長選考会議の選考結果は、学長選考において教職員による意向調査が無意味であると宣言したに等しく、大学の自治を著しく侵すものである。また、他に類例の無い今回の決定は、全国の国立大学法人における学長選考に深刻な影響を及ぼすことが考えられ、ひいては未来を担う若者を育成している日本の高等教育の将来に甚大な悪影響を与えるであろう。したがって、今回の選考結果は、到底容認できるものではない。
 学長とは、リーダーとして多様な構成員からなる大学を管理・運営していく重責を担うものである。その学長が大学構成員の意思を「無視」して選出されるような状況下では、大学の活力は失われる。全国の国立大学法人において様々な評価が行われている現在、学長選考会議は大学構成員だけではなく、納税者に対しても今回の学長選考に関しての説明責任があることは論を待たない。一方、西頭学長は、学内意向投票において極めて厳しい評価が下された状況下で、なぜ次期二年間の大学運営を引き受けたのか、また多数の教職員からの信頼を如何にして回復し、全学協力体制を築き発展させることができると考えているのかが問われている。
 ここに富山大学理学部教授会は、今回の学長選考会議の選考結果に対し遺憾の意を表明する。同時に、西頭学長に対しては、本学の将来を危うくするこの危機的事態を解決するために、良識ある判断を求めるものである。

2008年12月17日
富山大学理学部教授会
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西頭コ三 富山大学長殿

富山大学医学部教授会要望書

 本学では、次期学長候補者について、教職員有権者による意向調査が二回にわたり実施されました。本年12月4日開催の富山大学学長選考会議は、意向調査では二回とも最下位であった西頭現学長を次期学長として選出しました。富山大学医学部教授会は、本学の発展と健全な大学運営を望むものであり、今回の学長選考会議の選考結果に対し遺憾の意を表明します。
 富山大学医学部教授会は、選考会議の選考結果に関して、12月24日に開催された教授会の議を経て、以下の問題点を踏まえ、要望します。

学長選考結果の問題点
 学長選考会議規則によれば、意向調査の結果はあくまで選考の『参考』とあります。しかしながら、今回一位、二位ではなく、第一次、第二次ともに二割の支持しか得られず、これほど大きな得票差があった第三位候補を学長に選出した事例は、全国の国立大学法人学長選考史上、例がなく異常な事態であります。選考会議は、特に学外の選考委員は、意向調査の結果を「参考」とするのではなく、「無視」したと言わざるを得ず、本学構成員の意向が反映されない選考方法に問題があります。今回の結果は、大学の自治を著しく侵害するものです。
 また、今回の選考結果は、学長選考において教職員による意向調査が、しかも二回にわたって行うことが無意味であることを示し、教育、研究、あるいは多忙な臨床業務に従事しながら大学の将来を考え、投票した有権者の気持ちを踏みにじるものであり、今後、教職員のやる気を落とすとともに、社会的にも本学の信用に疑念を投げかけるものであります。
 もし今回の学長選考方法がそのまま踏襲されるならば、次回以降の学長選考においても再度問題となる可能性があり、今後の国立大学法人のあり方に甚大な悪影響を与えるものであり、とても容認できるものではありません。

医学部教授会は以下を要望いたします。
 1)選考会議結果について、これを受けた学長には全教職員に対して早期に十分な説明をすること。
 2)一次、二次の意向調査の結果は、本学教職員の約八割が執行部のこれまで三年間の大学運営に不信任を示したものです。このような状況に至って点を真摯に受けとめ、速やかな執行部の刷新と目に見える形の全学協力体制の構築を行うこと。
 3)学長選考委員の選出法や定数のあり方、意向調査結果の取り扱い方等、学内構成員の意志が尊重される形への学長選考方法の見直しを行うこと。

 西頭学長には、本学の危機的事態を解決するために、上記の項目に関して真摯に対応いただくよう、切に要望します。

2008年12月26日
富山大学医学部教授会
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平成21年1月7日
西頭コ三 次期富山大学学長候補者殿

富山大学薬学部教授会

 富山大学薬学部教授会は、平成20年12月4日の富山大学学長選考会議の選考結果に関して、12月17日、1月7日に開催された教授会の議を経て、以下の所見と要求を表明します。

次期学長候補者に対する薬学部教授会の要求

意向調査と学長選考会議の結果
 学長選考会議に先立ち、本学では教職員有権者による2回の意向投票が行われた。その結果、第1次意向投票(有権者数1148人、投票率76.9 %) における得票数は、平井美朗候補378 票(得票率43.3%)、倉知正佳候補304票(34.8%)、西頭コ三候補191票(21. 9%)であった。また第2次意向投票(有権者数618人、投票率85.5%)では、平井美朗候補314票(得票率58.0%)、倉知正佳候補116 票(21.4%)、西頭コ三候補111票(20 .5%)であった。しかしその後の学長選考会議においては、第1次・2次意向投票ともに第3位であった現学長が次期学長候補者として選出された。

選考結果に関する見解
 選考結果は極めて遺憾ながらも、現状においては国立大学法人における学長選考の最終決定権を有するのが当該選考会議である。したがって西頭現学長はこの結果を受け止め、教職員との協力・信頼関係を再構築しなければ、社会からの本学に対する信用を取り戻すことはできない。本学の運営を正常化させるため、薬学部教授会は次期学長候補者である現学長に対して、以下を要望し良識ある決断を求める。

薬学部教授会からの要求
1 .今回の意向調査の結果は、本学教職員の大多数( 投票者の約8割)がこれまで3年間の大学運営に対して、学長を含めた現執行部にはっきりと不信任を示したものである。この不信任は、個々の教職員が抱く富山大学像が現在の執行部のやり方では実現困難と広く判断されたためと考えられる。西頭現学長は、この学内での評価を重く受け止め、学長としての責任に基づく最終判断を求める。次期学長候補者に辞退の意志がなく、不退転の決意で再任を望むのであれば、現執行部体制を完全に刷新した新執行部での出直しを求める。
2 . 現在の大学運営の大きな問題点の1 つは、指揮命令系統が複雑であり、責任体制が不明確な点である。また、部局等からの意見・要請を適切に汲み取る機能も極端に欠如している。そこで指揮命令系統の単純化と情報の共有化のため、非理事副学長ポストを廃止するとともに、役員会・教育研究評議会・部局長等懇談会の役割と権限の明確化を求める。
3 . 運営費交付金の削減、18 歳人口の減少等により大学運営は極めて厳しい状況にある。この困難を乗り越えるためには、教員と職員が一体となって組織改革を行わなければならない。この一体化を可能とするために、事務局長が理事に就任することを求める。さらに、経理を含めた大学運営を透明化し、その説明責任を果たすことを求める。
4 .学外選考委員の任命権を有する学長は、その選出方法を見直し、少なくとも意向調査結果が反映されるよう改善することを求める。

 富山大学薬学部教授会は、本学の健全な運営と永続的な発展のため、上記4項目を西頭次期学長候補者に対し要求する。
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