『北海道新聞』2008年12月25日付

北海道TLO解散へ 北大が機能承継を検討


道内大学が持つ知的財産を民間企業で生かすため、技術移転などを手がけてきた北海道ティー・エル・オー(札幌、北海道TLO)が本年度末で解散する方向であることが二十四日、わかった。技術移転事業は北大が承継することを検討している。実現すれば国立大学法人で他大学の技術移転事業を受け持つケースは初めてとなる。

北海道TLOは一九九九年十二月、道内の大学や高専の教員と、北電など道内企業の計五十一の個人・法人が出資して設立した。

TLOとは技術移転機関の略。教員から研究成果の知的財産を譲り受け、同社が特許出願し、民間に有償提供する技術移転事業や、公的な競争資金の獲得、ベンチャー企業支援などを主な業務としていた。

設立から二〇〇八年三月末までの実績は、特許出願数が国内百三十五件、海外四十六件、民間企業との技術移転契約六十八件など。八社の大学発ベンチャー設立にかかわった。

〇四年に国立大学が独立行政法人化されたことで、知財を大学が管理することになったため、TLOとしての主要業務だった特許出願が激減していた。

北大は〇七年十月、知財管理や民間企業との連携を担当する「知財・産学連携本部」を設立。北海道TLO解散後は、同本部内にTLO事業を受け持つ部署を新設し、他大学に関する技術移転事業なども引き受ける方向で検討している。

文部科学省によると法律の承認を受けたTLOは今年七月現在、全国で四十七機関ある。