『陸奥新報』2008年12月23日付

弘大開設の高度救命救急センターに予算8億円


22日に内示された2009年度予算財務省原案で、弘前大学(遠藤正彦学長)が要求する県内唯一の三次救急医療施設として期待される高度救命救急センターについて、システムに関する要求額約8億円が全額認められたことが分かった。弘大医学部付属病院の花田勝美院長は「(実現に)大きな弾みが付いた」としている。

このほか、弘大医学部医学科定員10人増員も盛り込まれ、3年次編入学と合わせると120人となり、過去の最大定員と同人数。

今年度の二次補正予算が決定した場合、一次補正予算と合わせると、新規事業がほぼすべて認められることになる。弘大の財務・施設担当理事小川清四郎副学長は「次期中期目標、中期計画が予定取り進められると期待している」と話した。

09年度の弘大運営費交付金内示額は約112億4900万円。このうち、研究や特別支援事業に充てられる特別教育研究経費は約4億3千万円の増額となった。

高度救命救急センター関係では、ハイケアベッドや浮遊型ベッドなど、重篤な傷病者の診療に必要な高度救命救急基盤システムに関し、概算要求と同額の約4億円が認められたまた人工呼吸器血液浄化装置など救急患者を治療する設備の高度救命救急高次治療システムは、実質借金に当たる財政投融資で賄われ、4億円弱と同額で認められた。

同センターは弘大医学部付属病院の新外来棟と立体駐車場の前に設置し、延べ床面積約2420平方メートル、地上二階、地下一階。重症患者用4床と一般用6床の計10床を設置する。専任の医師14人、看護師38人、事務職員など50人体制となる予定。

同センターは10年7月の開設を目指し、今年度中に来年度予算が成立した場合、09年4月から着工する方針。総事業費は約27億円で、建物に約10億円を見込む。財政投融資返済分などを含めると、年間約3億円の赤字と推定されるため、弘大側は「県、市町村などに協力してもらい、支援を求めている」としている。

同センターの施設の基盤整備は財政投融資で要求しており、24日に内示される予定。小川副学長は「実質的に高度救命救急センター設置が認められたと考えている。建物について内示はまだだが、ほぼ認められると考えている」と期待を寄せた。

県健康福祉部の佐川誠人次長は「津軽圏域の救急体制を大きく充実させる第一歩になる。県民にとっても喜ばしいこと」と歓迎し「高度救命救急センターを柱に、自治体病院、開業医も含めて地域全体で初期二次三次と、しっかり連携できる救急体制づくりをしてほしい」と話した

高度救命救急センターに絡み、県は2009年度当初予算の編成までに、財政面も含めた各種支援の可否などについて、弘大と協議しながら検討を進める方針。