富山大学学長選をめぐる事実経過のご報告

高等教育フォーラムの皆様

 はじめまして。富山大学教職員組合書記次長の大野と申します。

 去る10月から11月にかけて行われた富山大学学長選挙で、学長選考会議は2度の意向投票でいずれも2割の得票しかなかった西頭徳三現学長を次期学長候補に選出するという、前代未聞の事態が起こりました。

 これは大学構成員の意向を全く無視して学長を決めることが可能であると全国の大学に知らしめる、悪しき前例となりうる事態であり、大学自治を真っ向から否定する暴挙であるといえます。

 富山大学教職員組合は選考結果発表後、直ちに声明を発表し、これは富山発の一大全国スキャンダルであると訴え、西頭学長の就任辞退を求めました。富山大学の8学部のうち、4学部教授会もまた声明を発表し、このままでは大学運営は立ちゆかなくなると訴えています。

 全国の大学関係者の皆様にも、事の重大性を認識していただきたく、ここに学長選をめぐる事実経過をご報告するとともに、よろしくご支援を賜りますようお願い申し上げます。

――以下事実経過――

○10月14日 学長選考会議 学長候補適任者3名を公示
 候補適任者は次の通り。
  西頭徳三(現学長)
  平井美朗(理学部長)
  倉知正佳(大学院医学薬学研究部特任教授)

 選考会議は学内委員12人と学外委員12人で構成される。 学外委員を任命するのは学長である。
(参考)国立大学法人富山大学学長選考会議規則 http://www.u-toyama.ac.jp/jp/public/info/gakucho/pdf/kisoku_g1.pdf
第2条 学長選考会議は,次に掲げる者をもって組織する。
(1) 国立大学法人富山大学経営協議会規則第2条第4号の委員
(2) 国立大学法人富山大学教育研究評議会規則第2条第3号から第7号までの
委員の中から,教育研究評議会において選出された者 12人以内

国立大学法人富山大学経営協議会規則 http://www.u-toyama.ac.jp/jp/public/info/keiei/pdf/kisoku_k.pdf
第2条 経営協議会は,次に掲げる委員をもって組織する。
(4) 役員又は職員以外の者で大学に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから,教育研究評議会の意見を聴いて学長が任命するもの 12人以内

委員名簿 http://www.u-toyama.ac.jp/jp/public/info/gakucho/pdf/meibo_g.pdf
学外委員  金岡祐一(富山国際学園理事長)議長
      石井隆一(県知事)
      示村悦二郎(元北陸先端科学技術大学院大学長)
      舘野政也(とやま医療健康センター顧問)
      金川克子(石川県立看護大参与)
      中尾哲雄(ITホールディングス会長・インテックホールディングス会長)
      山田圭藏(元北陸電力会長)
      北野芳則(元YKK副会長)
      松井竹史(テイカ製薬社長)
      東野宗朗(県教育長)
      森雅志(富山市長)
      橘慶一郎(高岡市長)
学内委員  畑中保丸(医学薬学教育部長)
      広瀬貞樹(理工学教育部長)
      小川洋通(人文学部長)
      佐藤幸男(人間発達科学部長)
      三浦哲男(経済学部長) 副議長
      平井美朗(理学部長)
      宮脇利男(医学部長)
      前田一樹(芸術文化学部長)
      済木育夫(和漢医薬学総合研究所長)
      山田恭司(理学部評議員)
      寺山清志(工学部評議員)
      遠藤俊郎(付属病院評議員)

○10月28日 組合から各候補に公開質問状を送付
 組合は11月10日、3候補からの回答を全学教職員に配布。
 学長選考会議は各候補の所信を事務室等で閲覧させるだけだったため、学内有志が「学長候補者の所信を聞く会」の開催を検討。杉谷地区と五福地区では学内有志主催で「所信を聞く会」を開催し、高岡地区ではは意向投票管理委員会の主催で「所信を聞く会」を開催することになった。

○11月4日 学長選候補者所信の閲覧開始

○11月10日 「学長候補者の所信を聞く会」杉谷地区(医・薬学部キャンパス)
 11月11日 「学長候補者の所信を聞く会」五福地区(人文・人間発達・経済・理・工学部キャンパス)
 11月12日 「学長候補者の所信を聞く会」高岡地区(芸術文化学部キャンパス)
 それぞれ夕刻から候補者3氏が所信演説を行い、その後質疑応答が行われた。

○11月13日 学長選考第1次意向調査 不在者投票
 学長選考会議は当初不在者投票を認めない方針であったが、教職員から抗議が相次ぎ、1日だけ不在者投票の時間を設けることになった。

○11月14日 学長選考第1次意向調査
開票結果 平井候補 378票(43.3%)
     倉知候補 304票(34.8%)
     西頭候補 191票(21.9%)
投票率 76.9%
有権者 学長、理事、助教以上の専任教員、附属学園主幹教諭以上の教員、主査以上の事務職員、技術専門員、技術専門職員、長クラスの医療系技術職員

○11月25日・27日 学長選考第2次意向調査 不在者投票

○11月28日 学長選考第2次意向調査
開票結果 平井候補 314票(58.0%)
     倉知候補 116票(21.4%)
     西頭候補 111票(20.5%)
投票率 88.5%
有権者 学長、理事、准教授以上の専任教員、管理職手当を支給されている事務職員・教室系技術職員・医療系技術職員

○12月1日 学長選考会議学内委員に意向投票の尊重を申し入れ

○12月4日 学長選考会議
 選考委員のうち、学外委員は9名、学内委員は11名が出席。候補者3氏によるプレゼンテーションと質疑の後、選考委員で審議。学内委員の平井理学部長は自身が候補者のため審議に加わらず。
 出席した学内委員によると、プレゼンテーションは3氏とも大差はなく、審議がまとまらないまま投票に入り、学外委員の大部分が西頭候補に投票した(と思われる)結果、西頭候補が11票、平井候補が7票、倉知候補が2票の結果になった。意向投票で最下位の候補を選出することに対して、学内委員から異議が噴出したが、学外委員に押し切られたという。
 選考結果は午後3時に全学に公表された。

○12月8日 組合中執声明を発表

○12月10日 人文・経済・人間発達学部 教授会声明を発表
 http://www.hmt.u-toyama.ac.jp/seimei.pdf
 http://www.eco.u-toyama.ac.jp/soumu/seimei.pdf
 (人間発達学部声明はHP未公開)
 
○12月18日 理学部 教授会声明を発表
 http://www.sci.u-toyama.ac.jp/news/seimei081219.pdf

○12月18日 金岡学長選考会議議長が審査経過に関する談話を文書で学内に公表。

○12月22日 西頭学長が「次期学長候補者に選考されて」と題する文書を学内に公表。

――以上――

 なお関連文書のうちウェブ上に公開されていないものは、目下開設準備中の富大職組HPで公表する予定ですので、今しばらくお待ち下さい。

08/12/23(火) 15:30:06          大野 圭介
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富山大学人文学部
http://www.hmt.u-toyama.ac.jp/chubun/ohno/