『日本経済新聞』2008年12月16日付

大学の火山観測への国の支援、16カ所に絞る 09年度から文科省


文部科学省は15日、全国33カ所で実施している大学の火山観測に対する国の支援を、来年度から阿蘇山など16の火山に絞り込む方針を決めた。大学の火山観測体制が予算や人材の不足で維持が厳しくなったためで、残り17の火山の一部では観測から撤退する可能性がある。

活動が活発であるか、活動性は低くても潜在的な爆発力が大きい火山に観測・研究の重点を置き、施設更新や観測機器の整備を進める。特に阿蘇山と霧島山では施設の老朽化で研究に支障が出る恐れがあり、防災科学技術研究所などを通じた早急な支援を盛り込んだ。

国内には108の活火山があり気象庁では警報発令を目的に約30の火山を連続観測している。文科省は、運営費交付金の削減などで苦境にある大学の研究を下支えするため、今後は気象庁との観測データ共有も進める。