『毎日新聞』2008年12月6日付

法科大学院:9割が定員削減検討
19校は10年度から−−全74校調査


文部科学省が10〜11月に全国74法科大学院を対象に実施したヒアリングで、4分の1を超える19大学院が10年度入試(09年実施)からの定員削減を決めていることが分かった。また、このほか49大学院が定員の見直しについて「検討を始める」と回答。新司法試験の合格率低迷などを受け、多くの大学院が現状に危機感を抱いている実態が浮かんだ。

5日に開かれた中央教育審議会の法科大学院特別委員会で文科省が報告した。具体的な大学名や削減人数などは明らかにしなかったが、9割超の68大学院が何らかの対応を考えていることが判明した。「現状維持する」とした残る6大学院はすべて私立だった。

「検討を始める」と回答した大学院には、10年度入試からの削減を視野に入れているケースもあるが、「全体が(削減に向けて)動けば対応できるようにする」などの消極的な意見もあった。入学時の適性試験に新たに最低基準を設けるなどの改善策を進めるとした大学院も複数あった。

委員からは「大規模校も教員体制などを踏まえて適正定員を検討し、全体の音頭を取っていくことが必要」などの意見が出た。

特別委の中間まとめ(9月30日)では▽質の高い教員の確保が困難▽新司法試験の合格率が低い−−などの場合に「大学院が自発的に定員を縮小する必要がある」と提言。文科省は中間まとめが示した方向性に基づいて、各大学院に対応を求めてきた。【加藤隆寛】