『北海道新聞』2008年12月7日付

道内大学 研究費の不正防止に全力 教員に誓約書 行動規範策定


道内の大学で、教員による公的研究費の流用などを防ぐため、不正防止計画や規定を独自に策定する動きが広がっている。文部科学省などが二〇〇七年二月以降に公表したガイドラインに沿った形だが、各大学の熱心な取り組みの背景には、不正の発覚で公的研究費が減額されれば、学校の経営自体も苦境に追い込まれかねないという危機感があるようだ。

道教大が昨年十一月、策定した不正防止計画では《1》教員に公的研究費利用のルールを順守する誓約書を提出《2》学会のために出張する場合は学会の配布資料の添付−などを詳細に定めた。同大は「公金を研究に利用する以上、国民への説明責任があり、具体的に研究費の適正な執行を決めた」としている。

旭川医大は昨年十月に「学術研究にかかる行動規範」を策定。《1》費用の水増しや架空取引《2》研究・調査データの捏造(ねつぞう)、改ざん、盗用−などの禁止を明記。併せて不正行為防止対策委員会を発足させ、不正行為を内部調査し、厳正に処分するなどの態勢も整備した。

同大は「不正行為で公的研究費が減額や打ち切りになれば大きなマイナス。第一に不正防止に努めるが、仮に不正が起きても、きっちり内部調査する態勢を整えた」としている。

不正防止計画を既に策定した千歳科技大も「不正行為を行えば大学全体の研究や運営に影響が出る」と懸念。「不正防止への対応を毎年見直し改善させる」としている。

一方、北大は不正防止計画の策定に向け、今年一月、全教職員を対象にアンケートを実施したが、策定のめどは立っていない。

早稲田大教授が公的研究費約千五百万円を私的流用した問題が〇六年に発覚。その後も公的研究費の不正使用が相次いだことから、文科省、経済産業省などはガイドラインや指針を策定し、全国の大学に不正防止の態勢づくりなどを求めている。