『日刊工業新聞』2008年12月2日付

京大、iPS細胞実用化を促進−国内外・産学問わず協力


京都大学は1日、ヒトiPS細胞(万能細胞)樹立から1年が経過したことを受け、iPS細胞研究センター(CiRA)長の山中伸弥教授らが会見し、研究の経過や今後の展望を語った。iPS細胞の1日でも早い実用化のためには「国内外、産学を問わず協力し、その上で日本、京大の知財を確保する。この順番を絶対に間違えてはいけない」(山中教授)と強調した。

この1年で京大と慶応義塾大学、東京大学、理化学研究所とのネットワーク構築やスーパー特区採択などオールジャパン体制の基盤が整った。08年9月にiPS細胞の作製に関する基本特許が成立し優位性を確保した。

知財体制については、山中研究室での研究報告段階から知財専門家が聞き、京大全体の会議を待たず、CiRAの判断で迅速に特許出願できる体制を整えた。

08年10月には、カナダのトロント大学とCiRAが協定を締結している。今後も早期の実用化につながるのであれば、国際連携や、研究者間での未発表データの交換などを進める考えを示した。