『毎日新聞』宮城版2008年12月4日付

情報教育:ネット倫理教育に本腰 東北大で専門家育成


◇全国初、来年度から大学院で 小中高カリキュラムも開発

インターネットを悪用した犯罪やいじめが社会問題化する中、東北大は全国で初めて、情報を活用する際の倫理を教える「情報教育」の専門家育成プログラムを始動させる。来年度から大学院に講座を新設し、専門家を育成するとともに、現役の教員と協力し小中高のすべての段階のカリキュラム開発に取り組む。東北大大学院情報科学研究科情報リテラシープログラムセンター代表の関本英太郎教授(メディア文化論)は「時代に求められたテーマ。有為な人材を育てたい」としている。【伊藤絵理子】

文部科学省の今年度の「大学院教育改革支援プログラム」に採択された。

関本教授らによると、これまで情報に関する教育はコンピューターの扱い方など技術的な分野に偏り、倫理や意義づけなどの教育はほとんどなかった。しかし、携帯電話やパソコンの進化で、有害情報が氾濫(はんらん)し、ネットいじめも深刻化。こうした課題に対応するため、情報の活用に必要なスキルを教える「情報教育」の専門家育成に取り組むことを決めた。

同研究科に、「情報リテラシー教育専門職養成プログラム」として、▽教育現場でのカリキュラムを検討する「情報教育デザイン論」▽テレビや映画などを通し情報を批判的に読み解く「メディアリテラシー」▽世論調査の方法や特徴を学ぶ「調査データ解析」−−などの講座を新設する。

来年度から最大で修士課程4人、博士課程2人を受け入れ、小中高のすべての段階で情報教育を指導する専門家として育成する。学生、教員、社会人など幅広く想定している。

また、実践的な場として現役の教員との交流・研修会や勉強会を開催。教育現場での在り方についても意見交換する。

同研究科は、プログラムに関する説明会を20日午後1時半、同研究科2階中講義室で開催する。問い合わせは同センター(電話022・795・3940)へ。