『十勝毎日新聞』2008年12月3日付

道東5大学が協定 来年度から教員免許更新制
講習共同開設へ8日調印
帯畜大、帯大谷短大は選択担当


来年4月導入の教員免許更新制で、帯広畜産大学(長澤秀行学長)と帯広大谷短期大学(中川皓三郎学長)などの道東5大学が教員向けの更新講習を共同開設する。3支庁にまたがる大学が広域的に連携し、共同体を作るのは道内でも先駆的な取り組み。帯畜大と帯大谷短大の地元2校では、教育研究成果を社会に役立てようと、「農業」「環境」「家庭」などの“得意分野”を生かした講習を模索している。

大学などが開設する更新講習については、複数の大学が存在する都市部では教員が受講場所を選択しやすいが、道東では根室管内に大学がないなど、支庁ごとに受講条件を整えるのは難しい。地理的にも他支庁と比べ広く、利便性の考慮も課題となっている。

このため、北海道教育大釧路校が道東5大学に対し、講座開設で協力しようと呼び掛け、釧路公立大学、釧路短期大学も加わり「共同体」(コンソーシアム)を形成することで合意。8日午後1時から帯広市内で協定に調印する。

講習は必修と選択の2領域に区分され、来年7月下旬から8月中旬に行う。教育政策の動向や学校内外との連携などを課題とする必修領域では教員養成を専門とする道教育大が中心となり担当。生徒指導や教科指導、教育充実をテーマとする選択領域で帯畜大と帯大谷短大が講座を設ける。

帯畜大は国立大唯一の獣医農畜産学単科大学でもあり、高校教員免許教科の「農業」「理科」に「環境」も加えた3分野で講習を検討。「総合的な学習にも役立つなど、本学の特色を生かし教員が興味を持てるよう工夫したい」(学務課)と説明する。帯大谷短大では中学の「家庭」「国語」を想定し、「教員になっている卒業生も多く、少しでも役立ちたい」(教務課)としている。講習は大学教員による対面講座のほか、帯畜大で道教育大釧路校の講習も受けられるようモニター授業を提供する。
(児玉匡史)

教員免許更新 必要な資質能力を持ってもらおうと、小・中学校、高校などの教員を対象に、10年ごとに30時間の更新講習を義務づけた全国一律の制度。受講・修了しなければ教員免許状が失効する。2007年6月の改正教育職員免許法成立で09年4月の導入が決定。来年、十勝では約340人の教員が講習対象となる。