『北海道新聞』2008年11月13日付

研究分野で給与格差 ポストドクター 月10万円以上


月額給与は工学系と人文・社会系で十万円以上の開きがあり、非常勤比率は女性が男性よりも高い−。博士号取得者や大学院の博士課程修了者で大学や研究機関に任期付きで勤めている「ポストドクター(ポスドク)」を対象に、文部科学省が初めて行った研究活動・生活調査で、こんな雇用の実態が明らかになった。

調査は昨年十一月−今年一月にインターネット上で行われ、北大を含む全国の千三十五人(男性七百八十人、女性二百五十五人)から回答を得た。

回答者の平均年齢は男性三二・八歳、女性三三・八歳。勤務形態は常勤48%、非常勤42%で、男女別では女性は常勤の比率が男性より4ポイント低い45%、逆に非常勤は女性が6ポイント高い47%だった。

月給平均額は男性三十一万四千円、女性二十八万二千円で、女性が三万円以上少ない。研究分野別では最も高い工学系が三十三万円、最も低い人社系は二十一万三千円と十二万円近くの差があった。文科省は「女性の非常勤比率の高さが給与に影響しているが、常勤者だけみても男女間で二万円以上の開きがあった」と説明する。

育児休業の取得状況は「取得しなかった」96%、「希望したができなかった」2%、「取得した」2%。できなかった理由は「非常勤職員のため」「給与が保障されてない」などの回答が多かった。

同省によると、二〇〇六年度のポスドクの延べ人数は前年度比5・8%増の一万六千三百九十四人。少子化などで大学教員の数が抑えられ、雇用状況は厳しさを増している。