時事通信配信記事 2008年11月15日付

観光人材育成へ産学官連携=カリキュラム作成や養成講座


観光庁は、旅行代理店やホテルなど観光産業を支える人材の育成・確保に向けて検討を始めた。教育環境を充実させるため、大学用のモデル的なカリキュラムを作成するとともに、経営者や従業員が経営上のノウハウを身に付けられる仕組みの構築を目指す。産学官の関係者らによる同庁の作業部会が2008年度中に報告書をまとめる。

観光系学部・学科を持つ大学は年々増加し、08年度で37校(定員3900人)ある。ただ、これらの大学で観光業界に就職する卒業生は2割程度にとどまっている。業界に就職しても短期間で離職するケースがあり、教育内容と業界ニーズとのミスマッチも指摘されている。

そこで同庁は、観光系の大学が人材の供給源として定着するよう環境を整えることにした。作業部会での検討を通じて、歴史や接客などが重視されている現在の教育カリキュラムを見直し、業界が求める財務管理や経営戦略といった分野を充実させたモデルを提案する。09年度には一部大学でモデル授業を実施してもらう考えだ。

既に業界に従事している地方のホテル経営者や従業員のスキルアップに向けては「再教育の場」の構築を検討。地方大学と連携した短期間の養成講座の設置などを想定している。