『読売新聞』岡山版2008年11月12日付

救急治療室創設へ連携 岡山市 岡山大


岡山市と岡山大が協力し、地域医療の向上を目指す「岡山大・市保健医療連携に関する委員会」(会長=高谷茂男市長、千葉喬三・岡山大学長、委員14人)は政令市移行に向け、救急や一般の患者を受け入れ、すべての症状を診察する「ER」(救急治療室)を創設する目標を盛り込んだ連携構想を示した。県によると、ERを備えた病院は県内にはなく、行政と大学が連携しER体制をつくることも珍しいという。

ERは、全症状の患者を診断し、応急処置など初期診療を行う。手術などの治療は、専門の医師、診療科などに引き継ぐ。

10日に委員会がまとめた構想では、市と岡山大が、医師や看護師が対応する「岡山総合医療センター」(仮称)を開設し、その中にERを設ける。ERは1〜3室を想定。ER専門の医師を中心に3交代制を取り、24時間365日対応する。

また、センターは同大学から研修医を受け入れ、学内に地域医療の向上に役立つ講座も開設することなどを確認。センターの設置場所、人員、費用などは未定で、双方の協力事項は今年度末までに決める。外部の病院との連携や、構想の中で市民病院をどう位置づけるかについても協議する。

市によると、市内の主要7病院を利用した救急患者は、2006年度で計約16万人。5年間で約3割増加し、うち9割が軽症者という。同委員会は、患者自身では症状の判断が難しく、より高度な医療機関を頼ろうとする傾向が強まっているとみており、「このままでは、各病院で手術や入院が必要な重症患者を十分受け入れられなくなることが懸念される」とし、ERの必要性を強調している。

高谷市長は「市民が安心できる政令市に向け、大きな柱が出来た。岡山型の救急医療体制『岡山ER』を実現させたい」と意気込む。千葉学長も「他の地域にない最適な医療体制実現のため、もっと手を携えるべきだ。使命感を持ち構想を進めたい」と話している。