『読売新聞』茨城版2008年11月8日付

筑波大、医師育成拠点を設置
来年4月、水戸協同病院に


筑波大は、水戸協同病院(水戸市宮町、401床)内に来年4月、地域医療に携わる医師育成の拠点となる「筑波大付属病院水戸地域医療教育センター」を設置する。大学側は公募で採用する内科、外科の医師10人程度をセンターに教員として配置、研修医を受け入れやすくする。

センターでは主に初期診療の能力向上に向けた学生や医師の臨床教育・研修を行う。協同病院側には医師不足解消のメリットがある。

双方は、これまでも医師派遣や生活習慣病学寄付講座の設置などで連携してきた。協同病院を運営する県厚生農業協同組合連合会(県厚生連)によると、県内で運営する6病院中、取手や土浦などの県南地域は医師数がほぼ足りているが、水戸協同病院は理想の医師数40〜50人に対し、現在は常勤で22人にとどまっているという。昨年11月に大学付属病院へ連携を提案し、検討会を設けてセンター設置構想をまとめたという。

2004年度に導入された臨床研修制度で、大学を卒業した新人医師が、待遇がよく、多くの基本症例を学ぶことが出来る民間病院に流出する傾向が高まっているが、こうした大学の医局離れに歯止めをかける試みとしても注目を集めそうだ。

岩崎洋一学長と、県厚生連の市野沢弘・代表理事会長は7日、大学本部棟で連携協力に関する協定を締結した。協定は2014年3月末までの5年間。岩崎学長は「地域における医療福祉の一層の向上へ貢献を果たしていく」とあいさつ。市野沢代表理事会長は「地域の医師不足は深刻で、県北では医療崩壊の危機にある。医師供給の拠点が出来たのは喜ばしい」などと述べた。