時事通信配信記事 2008年11月4日付

医学部定員、来年度から693人増へ=文科省


医師不足が深刻化している問題で、文部科学省は4日、77大学が2009年度に医学部の入学定員の拡大を計画し、増員数は計693人に上るとの集計を発表した。定員は全国で8486人となる見通しで、ピークだった1980年代前半の8280人を206人上回る。

内訳は国立42校で363人、公立8校で59人、私立27校で271人。大学設置・学校法人審議会の審議などを経て、年内に正式に確定する。

このうち73校の504人については、政府が「医学部定員を過去最大程度まで増員する」とした6月の閣議決定を受けた措置。各校は定員拡大の代わりに、養成した医師を地域に定着させる「地域貢献策」を同省に提出した。

地域貢献策を集計したところ、▽県内などからの地元出身者を別枠で入学させる「地域枠」「地域定着枠」を設けるのは47校▽卒業後に地域医療に従事することを条件にした奨学金を設定するのは62校−だった。

73校中ほぼ全大学が、医師が特に不足する産科、小児科の教育内容の強化を打ち出した。34校は学部段階から取り組むとしている。

文科省は計画が着実に実施されるよう、医療関係者らで構成する「計画評価委員会」を設置。履行状況を定期的に点検する。

09年度の入学定員については、各大学が今年8月時点で計760人程度の増員を検討。しかし、指導教員を確保するために地域の医療機関から、派遣医を引き揚げさせるなどの計画も一部あり、同省が調整を進めていた。