『山陰中央新報』2008年10月30日付

医師確保に向けて、島大大学院が専門コース開設


島根県内の医師不足に対応しようと、島根大大学院医学系研究科(出雲市塩冶町)は、来年度から県と協力し、医師の定着を支援する「地域医療支援コーディネーター」を養成する。医師確保の専門家を養成する教育課程の創設は全国初。

同コーディネーターの養成は、地域の医療ニーズを把握し、医学生やへき地で働く医師の相談に乗り、医師の定着や適正な配置を図るのが目的。大学院の養成課程を修了し、現場経験を積んだ人材を、県がコーディネーターとして認定する。

養成課程の募集対象は、医師不足を抱える自治体の健康福祉部門で働く職員など。二年間のカリキュラムでは、四カ月間、県内の医療現場を回り、医師の勤務実態や医療の現状を把握。医師の実態を知ると同時に、労働心理学や医療関連の法律を学ぶことで、相談に乗るほか、適切なアドバイスができる能力を身に付ける。

木下芳一医学部長は「地域の医療ニーズと、現場の医師のニーズに精通した専門家がいることで、医師確保対策も立てやすくなる」と述べた。

県医療対策課によると、昨年十月の調査で、県内の医師の充足率は80・2%。二〇〇二年から松江、出雲圏域を除くと全域で医師数が減少し、中山間地や離島の医師不足が深刻化している。