『しんぶん赤旗』2008年10月28日付

国立大病院 6割赤字
病院長 「医療の質低下」危ぐ


全国に四十五ある国立大学付属病院の六割以上の二十八病院が赤字状態に陥っていることが二十七日、国立大学付属病院長会議の調べでわかりました。また、国立大学協会のアンケートでは、「医療の質および安全性が低下する」と危ぐする病院長が八割以上にのぼることも判明しました。国立大学付属病院長会議は同日、臨時総会を開き、政府にたいして予算拡充などの対策を要望しました。

同会議によると、赤字の大きな要因の一つは、国の財政支援策である運営費交付金の大削減です。同交付金のうち、病院関係の交付金は二〇〇四年度に五百八十四億円でしたが、〇八年度には三百九億円へと約五割も削減されました。削減された二百七十五億円は、二十八病院の赤字合計七十六億円の三・六倍にのぼる額です。

資金繰りが苦しくなった各病院は、より多くの患者を受け入れて収入の確保をめざしました。その結果、医師・医療従事者に過重労働としてのしかかり、臨床研究や教育活動に支障が生じています。また先端医療のための投資にも十分な予算が確保できなくなっています。

国立大学協会のアンケート調査によると、病院長の82%が「医療の質および安全性が低下する」、93%が「非採算的な高度診療機能が低下する」と回答。「医師確保が困難になる」は91%にのぼります。 「臨床系講座の研究機能」については全員が「低下する」と回答しました。