『読売新聞』秋田版2008年10月17日付

≪医療ルネサンス≫秋田大に地域医療推進学


県費初の寄付講座

秋田大は今月1日から、医学部に「総合地域医療推進学講座」を開設した。県は医師確保対策と位置付け、講座にかかる費用を寄付する。県費による「寄付講座」は初めて。

講座では、〈1〉様々な病気の患者を総合的に診療できる「総合医」の養成〈2〉都市部と農村部の間で生じている医療機関や設備の格差を是正し、都市部に偏在する医師を適正配置する研究〈3〉秋田大が県内の基幹病院と連携し、学生らを大学と病院で交互に実習させる「循環型医師養成システム」の構築に向けた研究――などに取り組む。

講座は2012年度末までの期限付きで設置する。

県は、人件費や研究費など講座に要する費用として、今年度は1750万円、次年度からは毎年3500万円を大学に寄付する。

秋田大の本橋豊・医学部部長は「大学を出た後、地域に残って地域医療をできるような医師を一人でも多く育てていきたい。まずは、総合医の養成プログラム研究に力点を置きたい」と話す。

講座を担当する同大の長谷川仁志教授(循環器内科)は「いかに研修医や学生に実力をつけさせることができるか。それが秋田の医療を支えるメンバーを増やすことにつながる。学生も研修制度も日本一にしたい」と語る。

県は秋田大に対し、毎年4月末までに研究成果の報告を求め、成果を県の医療施策に反映していく考えだ。

谷田部知一・県健康福祉部長は「地域医療の確保、充実は県政の重要課題。医師確保、都市と農村の問題など講座への期待は大きい」と話している。