『河北新報』2008年10月17日付

人材・資金確保に悩み 東北の大学発ベンチャー


大学・高専の研究を生かして設立された東北のベンチャー企業が、人材や資金、販路開拓に悩んでいることが16日、東北経済産業局が発表した「2007年度大学発ベンチャー企業基礎調査」で分かった。資金面では特に、研究開発や設備投資の資金不足を訴える声が多い。

直面する経営課題(複数回答)で最も多かったのが「販路の開拓、顧客の確保」(77.4%)と「資金調達」(同)。これに「人材確保・育成」(74.1%)が続いた。

資金確保については単一回答で、32.3%が「研究開発費で資金不足を感じている」とし、22.6%が「設備投資で資金不足」と答えた。「資金は十分」は9.7%にとどまった。

ベンチャー・キャピタルについては、61.3%が「支援を受けていない」と回答。22.6%が「支援を希望しているが、実現していない」とし、「出資を受けている」は9.7%のみだった。

07年度に東北で新設された企業は8社。内訳は東北大関連が4社、岩手大関連が2社、福島県立医大といわき明星大関連が各1社。

東北と全国の大学発ベンチャー企業の推移はグラフの通り。東北は07年度末で127社となり、地域別では関東(744社)、近畿(352社)、九州(170社)に次いで4番目に多かった。

調査は08年2、3月に全国の大学発ベンチャー企業1506社を対象に実施。うち東北は114社を対象に調査し、回答率は27.1%だった。