『河北新報』2008年10月17日付

医師定着へ専修コース 小児科や産科学費免除 山形大


山形大医学部(山形市)は16日、医師の減少が著しい小児科、産婦人科、救急医学、外科の専門医養成を目指し、各科の専修コースを新設すると発表した。募集対象は山形県外出身の在学生。専門医にまで育てることで、県内定着と、専門分野への医師の偏り解消を狙う。同学部によると、学部教育から専門医教育まで一貫した医師養成プログラムの編成は、全国で初めて。2009年度の開設を目指す。

文部科学省が深刻化する医師不足に対応するため、来年度の大学医学部の総定員数を大幅に増加させる方針を打ち出す中、山形大医学部は「医師の地域バランスや診療科の偏在を解消しなければ、問題の解決にはならない」(嘉山孝正・医学部長)と判断。その抜本的な対策として専修コースを設けた。

専修コースは、山形県外出身で卒業後も県内の病院で専門医教育を受けることを希望する人が対象で、4年生になる時点で選択。定員は小児科、産婦人科、救急医学が各2人、外科専修コースが4人で計10人。4年生からの3年間、授業料(年間約53万円)が全額免除される。

山形県が県内の病院に勤務を希望する学生を対象に行っている奨学金制度(年間200万円支給)にも推薦する。定員に満たない場合は2次募集を行い、県内出身者も対象にするという。

卒業後は同病院や山形県内の病院で卒後臨床研修(2年間)、専門医になるための後期臨床研修(4―6年間)を受け、専修コースと継続性を持ったプログラムで学ぶ。このため、卒業後、最低6年間は山形県内にとどまることになる。

卒業後に山形県での勤務を希望しなかった場合は、授業料に利息を加えて返還する必要がある。嘉山医学部長は「これまでは山形で学んでも、東京や仙台に人材が流出していたが、専門医の教育を受ければ、山形に定着する可能性がかなり高くなるだろう」と期待している。