『読売新聞』愛媛版2008年10月8日付

愛大院に船舶工学コース新設 造船技術者を養成…愛媛


愛媛大学は7日、県内の有力地場産業である造船業の技術者を養成する「船舶工学特別コース」を来年4月から、大学院の生産環境工学専攻内に新設すると発表した。今治市の造船会社「今治造船」の寄付で設け、船舶工学関連の専門教育コースの設置は四国で初めて。

愛媛大や同社によると、経済発展の進む中国への鉄鋼などの資材輸送の増加などで造船業界は好況に沸いているが、国内で船舶工学関連の専門教育コースを設置する大学、大学院は東大や阪大など8大学にとどまる。優れた人材の確保が課題で、グループ全体で国内の船舶建造量トップの今治造船が5年分の教員の給与などを寄付し、コースが新設されることになった。

2年間の修士課程コースで、若い人材の育成のほか、地元企業で実務に就いている技術者の再教育も行う。新規採用する実務経験のある教員2人による講義のほか、実践能力を高めるため、地元企業で約3か月間に及ぶ長期インターンシップも予定している。

募集人員は5人で、そのうち3人程度が社会人特別選抜となる予定。入学願書受け付けは来年1月19〜23日。

この日、松山市内の大学本部で、今治造船の檜垣幸人社長から小松正幸学長に寄付目録が手渡された。小松学長は「優れた造船技術者を養成し、地域の発展に貢献したい」と話し、檜垣社長は「韓国や中国との競争、将来起きるであろう技術革新に備え、人材確保が最重要の課題だ」と言葉に力を込めた。