『河北新報』2008年10月7日付

仙台圏17大学・短大が連携強化 経営効率狙う


仙台市とその周辺にある13大学、4短期大学が国公私立の枠を超え、単位互換の拡充や危機管理体制を整備する共同事業に着手した。独立行政法人化や少子化により、大学・短大経営の先行きに不安材料がある中、効率的に事業を展開するのが狙い。仙台圏の大学、短大の協力はこれまで、産学官の枠組みが主軸だったが、経営に直結する実務面での連携強化が不可欠と判断した。

単位互換は、インターネットで遠隔授業を行う「eラーニングシステム」を導入。複数の大学、短大で同時に受講できるようにする。年度内に機器を設け、2010年度の本格実施を見込む。

危機管理面では、近い将来の発生が予想される宮城県沖地震に備え、各校の責任者による防災ネットワーク事業部会を設立する。災害ボランティアの共同養成や、防災マニュアルの一部共有化に取り組む。

昨年春、はしかの大規模流行で一部の大学が休講に追い込まれたことを教訓に、トラブルに迅速に対応できる体制づくりも協議する。

共同事業は、既存の産学官連携組織「学都仙台コンソーシアム」のネットワークを生かして進める。コンソーシアムのホームページを通じて各校の教員免許更新講習、オープンキャンパスなどの情報を発信する。

市民対象の公開講座は、質の高い学習機会の提供を目指す。教員らの能力向上に努め、受けることができるサービスの均質化も図る。

事業は、本年度始まった文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に採択され、3年間の補助を受ける。

代表校・東北学院大の井上義比古学務部長は「ネットワークを充実させ、知的資源が集中する学都仙台のメリットを生かしたい」と話している。

参加校は以下の通り。
東北大、宮教大、宮城大、仙台白百合女子大、東北学院大、東北工大、東北生活文化大、東北福祉大、東北文化学園大、東北薬科大、宮城学院女子大(以上仙台市)、尚絅学院大(名取市)、仙台大(宮城県柴田町)、尚絅学院大女子短大部、聖和学園短大、東北生活文化大短大部(以上仙台市)、宮城誠真短大(大崎市)