『長崎新聞』2008年10月10日付

「苦労あったが、楽しかった」退任の齋藤寛長崎大学長 6年の任期振り返る


十日で退任する長崎大の齋藤寛学長は九日、長崎新聞社の取材に応じ、六年間の任期を振り返り、「苦労もあったが、楽しかった」と話した。

齋藤学長は二〇〇二年十月に第十三代学長に就任。〇四年四月に国立大学法人化して最初の学長として、かじ取りをした。「法人化でそれぞれが個性を出し、変革しなければならない時期に学長になったことで自分の持ち味が生かせたのではないか」とし、「『情報公開』と『説明責任』を掲げてやってきた。苦労はあったが、だんだん学内に浸透していき、楽しかった」と振り返った。

地域とともに歩むことを目指した同学長。本県に対しては「長崎は四百年前からまち全体が大学で、全国から若い人が集まり、勉強した。学問をする雰囲気を受け継ぐ代表のようなまちと思う。伝統を受け継いでほしい」とエール。

同大に対しては「長崎大の原爆からの復興は市民の生きてきた道筋とぴったり重なる。これからも教育と研究は地域と連携しながら進めることを世界で最も強く打ち出してほしい」と求めた。

「長崎大での二十五年間、周りには常に学生がいたので、離れるのは寂しい」とも。長野県生まれ。退任後も本県にとどまり、テレビ番組に出演する予定があるが、「しばらくは英気を養いたい」とほっとした表情を見せた。