『毎日新聞』京都版2008年10月1日付

尾池・京大学長:退任会見 「激動の5年間だった」


京都大の尾池和夫学長(68)は30日、任期満了を迎えて退任会見を開いた。独立法人化などの経験を振り返り「激動の5年間だった」と述べた。10月1日に国際高等研究所(木津川市)のフェロー(非常勤)となり、専門の地震学研究を続ける。フェローの任期は09年3月末まで。

03年12月16日に学長に就任し、04年4月の法人化も経て5年近く務めた。取り組んだ仕事として、後期入試の廃止▽学内施設の耐震強化▽朝鮮学校出身者の受験資格認定▽一般市民への広報強化−−などを挙げた。

法人化については「悪い方向に行かないことが大事だった。大学をつぶさずにすんだ」と語る一方、国の対応について「いきなり授業料値上げを打ち出した。もうちょっと賢い政府であってほしかった」と苦言を呈した。

学生に対しては「先生や友達との対話を根幹としながら、自学自習の伝統を生かしてよく学びなさい」とメッセージ。今後の京大に期待することを問われると「何もない。大学にいる人が考えながらやってほしい。何も心配していない」と答え、「自由の学風」を感じさせた。【朝日弘行】