『読売新聞』福井版2008年10月3日付

設備充実で新人医師確保
福井大病院研修センターきょう着工


「医者の卵」である臨床研修医の教育環境を充実させようと、福井大病院(永平寺町松岡下合月)は、研修医が手技や診察の練習を24時間行える施設「スキルラボ」などを備えた「臨床教育研修センター」を建設する。人材育成拠点として、県内外の新人医師を呼び込むのが狙いだ。3日に本格着工し、来年度から運用を始める。

医師臨床研修制度により、研修医には2004年度から2年間の病院研修が義務付けられた。ただし、研修先は自由に選択できるため、設備やスタッフが整い、症例数も多い都市部の病院に集中する傾向が強く、一方で、地方の医師不足を招いたとされる。

福井大病院では、研修医は毎年35〜40人が新しく勤務していたが、04年度以降は激減し、05年度に同病院を選んだのは11人だけ。救急患者の初期診療後、入院などが必要な場合は各診療科へ割り振るという「北米型救急外来」のシステムを取り入れている点など、病院の特徴を積極的にアピールした結果、08年度は31人に増えたというが、制度改正前の人数を確保するには至ってない。

建設される研修センターは、2階建て鉄筋コンクリート造り、延べ床面積1100平方メートル。スキルラボには、気管挿管や注射を練習できるコンピューター内蔵の人体模型など、医療実習用の器具や装置約70種類をそろえたほか、研修医専用の部屋を設け、個人用の机も置く。地域住民向けの健康講座などを開くためのホールも整備する。

総工費は約3億円。建設費の一部は関係者からの寄付を充てる予定で、同大学医学部や旧福井医科大の卒業生、関連病院などに寄付を呼びかけている。山口明夫・福井大病院長は「新人医師がうちの病院で勤務したいと望む呼び水の一つになればと考えている。地域の医師不足解消にもつなげたい」としている。