『産経新聞』2008年10月1日付

【教育】国立大などの利益増 受託研究収益の伸びなど要因


文部科学省が公表した、法人化している86国立大学と自然科学研究機構など4つの大学共同利用機関の平成19年度決算状況によると、利益総額は前年度より約130億円増の計約903億円だった。

政府方針で運営費交付金が削減されたが、受託研究の収益などが伸びたのが要因。一方で、教員の人件費は2年連続減の約6540億円で、文科省は「減少が続けば、中長期的に教育研究機能の低下につながる」としている。

大学別の総利益は、京都大の約63億円が最高。約55億円の北海道大、約42億円の東北大が続いた。

19年度は、国による出資など実質的に税金で負担した経費を示す「業務実施コスト」が約1兆4084億円となり、国立大などが法人化した16年度より13%減少。財務体質の改善が進んでいることがうかがえた。

研究施設などの減価償却費約3432億円は法人化後の最低で、耐用年数が過ぎた施設の使用を続けていることが要因とみられる。

42ある付属病院は外来患者の増加などで全体は増益となっているが、看護師の人件費や設備投資などがかさみ、昨年度と同じ16病院が実質的な赤字状態だった。