『読売新聞』2008年9月21日付

子どもの心 専門家養成、連合大学院新設


来年度、阪大など3大学

学習障害や注意欠陥・多動性障害といった発達障害や、子どもに増えているうつ病、摂食障害などに対処できる人材を育てるため、大阪大と金沢大、浜松医科大は2009年度、連合大学院「小児発達学研究科」を新設する。全国初の試みで、医学や心理学、教育学など文理融合による「子どもの心の専門家」養成に乗り出す。

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文部科学省は09年度予算の概算要求に同大学院の設置運営費約1億2180万円を盛り込んだ。

3年制の博士課程で入学定員は10人。心理、教育系などの修士課程修了者のほか、医師や教師、看護師ら社会人を対象に、学校カウンセラーや発達障害者支援センターの責任者、児童精神科医などを養成する。

教育研究は、阪大が小児発達神経学、金沢大が脳機能学、浜松医大が疫学統計学など、各大学が得意分野を担当。医学や生命科学、心理学などの基礎教育には遠隔講義システムやインターネットを使ったeラーニングを導入する。

阪大と浜松医大は06年度、発達障害などを解明する「子どものこころの発達研究センター」を連携して設置。金沢大も昨年から参加しており、センター長で、大学院の基幹校となる阪大の遠山正彌(まさや)教授は「子どもの心の課題に多角的な視点で取り組める人材が必要」と話している。

文科省の推計では、発達障害のある小中学生は全体の6%に上る。また、北海道大の研究グループは昨年、うつ病と診断される小中学生の割合は1・5%で、中学1年では4・1%と大人並みの割合になるという調査結果を発表した。