『山形新聞』2008年9月21日付

本県は年間85億円の流出超過 学生への仕送り額


本県から県外の大学や短大に進学した学生への仕送り額は年間約159億円で、他県から県内の在学者への仕送り額を差し引くと、年間約85億円の流出超過になることが20日までに、山形銀行の「やまぎん情報開発研究所」の調査で分かった。

進学者への仕送りは家計への負担が重いことから、同研究所は「親世帯の消費マインドに大きなマイナスの影響を与えるほか、老後の生活資金など、将来の消費をも圧迫しかねない」と分析している。

県外で学生生活を送る県内出身者は約1万6000人と推計される。学費を除いた平均的な年間の仕送り額約97万2700円を掛けると、県外への仕送りの流出は約159億円に上る。一方、他県から本県へ進学した人は約7600人で、年間約74億円が流入しているとみられる。

県内高校生の進学状況をみると、昨年度の卒業生1万2831人のうち、大学や短大に進学した人は前年比2.6%増の6078人。県外へ進学した人が75%程度を占め、県内の入学者数は2年連続でマイナスとなった。

全国大学生協連などの調査によると、学生が1カ月に使う生活費の平均額約12万円のうち、7割近くが仕送りとなっている。近年、学生がアルバイトなどで得た収入は増加傾向にあるものの、 依然として生活費の多くは親からの援助に依存している。

経済が低成長を続ける中、現役世代の所得が伸びず、親世代を援助することは困難になってきている。こうした状況から、学生本人が奨学金、学資ローン、アルバイトなどを利用して、教育費や生活費を負担する傾向が強まっているという。同研究所は「親世代の資産減少を抑制し、老後資金を確保するための有効な対処法として、県内の消費にも好影響を及ぼすものとみられる」としている。