ニュースレター NO.8   2008、9,15
公正な学長選考を求める裁判を支える会

     事務局:高知県高知市曙町2−5−1 高知大学教職員組合内
        (TEL/FAX 088−844−1489)



○ 刑事告発の不起訴処分に対して「検察審査会」に不服申し立てへ!

すでに新聞等で報道されているように、昨年12月に私たちが行った「公用文書毀棄」及び「偽計業務妨害」の刑事告発について、高知地検は嫌疑不十分で不起訴処分とする決定をくだしました。「嫌疑不十分」とは「全く嫌疑がないわけではないが、立件するに足る物的証拠などが足りない」ということのようです。私たちはこの不起訴処分という決定を不服として検察審査会に申し立てる方針を固めました。

検察側の不起訴の論拠は以下の2点です。

1 数えまちがえた可能性が高い。
2 投票用紙を偽造するのは難しいので票のすり替えがあった可能性は低い。

これらの判断の根拠となったのは、関係者への「事情聴取」及び任意提出された投票用紙ですが、いずれも十分に調査・検討されたとは言えません。
まず、検察は告発した私たちへの事情聴取すら一切行いませんでした。実は、私たちの許には開票に関わった教職員等から「ミスの可能性はほとんどない。もし必要なら証人として自分の名前を挙げてもらって構わない」という勇気ある申し出が多数寄せられていました。しかし、私たちはこれらの申し出を検察に伝える機会をまったく持てなかったのです。

弁護団を通じて確認したところでは、大学関係者からの事情聴取は「数え間違いを発見した」職員1名(転勤したもう1名の職員からは聞いて聴取していないようです)に対して行ったとのことです。新聞は「開票作業が杜撰であった」という検察の判断を報じていましたが、その記事を読んだほとんどの人は違和感を持ったのではないでしょうか。つまり、その判断は係る問題に最も近い人物だけの証言?に基づいて行われた可能性が高いからです。

また、唯一の「物的証拠」である投票用紙に関しても「第三者が容易に偽造できる物ではない」(『高知新聞』)という状況認識のみで、第三者または当事者が「精巧に」偽造した可能性や印刷業者がなんらかの形で不正行為に関わっている可能性については十分検討・捜査が行われていないようです。

以上のように、今回の不起訴処分については、その捜査のやり方があまりにも皮相的であるので,導かれた結論は到底納得できるものではありません。検察審査会への申し立てをすることは、この問題を注視している国民と社会に対し,「不起訴処分がただちに不正がなかったことを意味するものではない=不正の可能性は払拭できないされていない」ことをと発信していくという意義があります。検察審査会の議決には拘束力がない(「検察審査会とは」参照)という問題はありますが、世論を背景に、検察がもっと綿密に捜査を尽くすよう,検察審査会へ申し立てを行うことにし、弁護団にその準備を依頼しました。

特に開票作業について関係者へのきちんとした事情聴取が行われないまま、「開票が杜撰であった」という大学側の一方的な主張があたかも事実であるかのように扱われるとすれば、今後の裁判の行方のみならず、高知大学の名誉にとっても極めて重大な問題であると考えます。開票作業に関わった全ての教職員の名誉のためにもここで引き下がるわけにはいきません。


○ 緊急報告!地裁 国側の「移送の申し立て」を却下! 日程は変更の可能性

行政訴訟について緊急の報告があります。9月19日に高知地裁で第一回口頭弁論を行うということで、これまで準備をしてきになっていましたが、国側から、東京又は高松の地裁で行うべきであるとの「移送」の申し立てがなされました。この国側の申し立てはに対し、高知地裁には却下の判断を下しました(9月12日)されました。しかし,この地裁の決定に対して国側が抗告する可能性が強いあるため、19日に口頭弁論をが行われるかどうかは流動的な情勢となりました。

行政事件訴訟法によれば、裁判は「高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所」(特定管轄裁判所)で行うのが原則ですが(第12条 4)、「当該処分又は裁決に関し事案の処理にあたった下級行政機関の所在地の裁判所にも提起できる」(第12条 3)とも規定されています。私たちはそれその12条3項を根拠として、高知地裁に提訴したわけですが、ました。今回,国からの「特定管轄裁判所でやるべき」という申し立てが却下されたことは、これからの行政訴訟のあり方にも大きな影響を与える画期的なことであると言えます。

口頭弁論が19日に行われるかどうかは国側の対応により微妙です。日程についての情報は入り次第お知らせいたします。


■検察審査会とは?

今回のケースのように「告発」を行う権限は一般市民にもありますが、それを受けて裁判所に公訴を提起するかどうかの判断は検察にゆだねられています。不起訴、ないし起訴猶予となった場合、その検察の判断を不服とする者(つまり我々)の申し立て(不服申し立て)を受けて、検察の判断の適否を審査する機関です。

11名の委員(一般市民)から構成され任期は6ケ月で、3ケ月ごとに半数が改選されます。全国に201の審査会が置かれていますが、高知県では、高知、須崎、中村の3つの審査会があります。

審査会の判断は、「不起訴相当」、「不起訴不当」「起訴相当」の3つがあります。「不起訴不当」「起訴相当」の場合には検察は再捜査を行い起訴するかどうかを判断しなければなりません。しかし、最終的な判断は検察が行うため、審査会で「不起訴不当」「起訴相当」とされ再捜査した事件であっても最終的に不起訴となる場合も多いようです。