『北海道新聞』2008年9月18日付

道内5大学が共同大学院 地域医療の担い手育成


札医大と室工大、樽商大、道医療大、千歳科技大の五大学が二〇一二年度に、幅広い専門知識を持った地域医療の担い手を育てる大学院を共同設置することになり、十七日、札医大で連携協定の調印式が行われた。病院経営や医療機器の開発に役立つよう、医学や工学、経営学など多分野の科目を履修できるのが特徴だ。複数の大学による共同大学院は道内初。

共同大学院では、五大学それぞれの教育、研究実績を活用。計画では、医療系大学以外の卒業生は基礎的な医学を必修とし、その上で病院の会計や経営戦略、電子データ活用技術、医療工学などの選択科目を設ける。

一学年二十人程度の修士課程のみで、授業の大半は札幌市中央区に新設予定のサテライトキャンパスで行う。大学院の名称などは未定。

地域医療の充実が求められる一方、特に地方で自治体病院の赤字などが問題になっていることを受け、札医大が設置を呼びかけた。修了者は、経営ノウハウを持った医師や医療にも詳しい自治体職員として、道内各地で活躍することを想定している。

大学院設置への準備期間として、早ければ〇九年度から、五大学それぞれの大学院で地域医療にかかわる共通科目を設け、単位を取得できるようにする。

この日の調印式には、五大学の代表が出席。札医大の今井浩三学長は「新しいタイプの人材を育成することで地域に貢献したい」と決意を述べた。