『読売新聞』東京多摩版2008年9月11日付

家畜病院が新装
農工大 隣接地に新設


東京農工大農学部(府中市幸町)の家畜病院が、動物医療センター(岩崎利郎センター長)として生まれ変わった。旧病院の隣接地に新設され、高度医療を担当している。多摩地区だけでなく、周辺のペット愛好家からも頼りにされている存在だ。今月18日、開院記念式典が予定されている。

家畜病院は1949年、臨床獣医学の教育・研究の場として設置された。一般の動物病院で対処できない高度な医療を必要とするペットが対象となる。

CT(コンピューター断層撮影法)スキャンやMRI(磁気共鳴画像装置)など、高性能の診断機器を活用している。さらに例えば、心臓病のペットには心臓カテーテル治療や心臓の弁置換手術、がんには外科手術と併用して放射線治療や化学治療を施している。犬や猫を中心にした手術件数は年間延べ約7500件に上るという。

山根義久教授は「ペットの高度医療は飼い主の意識の変化を背景に、ここ10年で進歩した」と説明する。

新しい建物は鉄筋コンクリート造り2階建てで、延べ床面積は約1500平方メートル。待合室は従来の2倍となった。7月からすでにセンターは稼働しているが、旧家畜病院を事務・研究室棟として使用するための改修が終了したことから、記念式典を開くことにした。

総事業費は約5億7000万円で、うち5億4000万円を日本政策投資銀行と三菱東京UFJ銀行から借り入れ、最長15年かけて診療収入で返済する。2005年に国立大学法人法施行令が改正されて以降、民間金融機関などからの借入金による施設整備は初めて。独立行政法人化された国立大学の財源確保のモデルケースとされている。

岩崎センター長は「犬・猫などペット類を中心にした地域の二次診療機関としての機能を充実させた。病気のペットを回復させ、動物病院に返す役目を果たしていく」と話している。