『毎日新聞』愛媛版2008年9月10日付

県:9月補正予算案、一般会計総額100億4383万円 /愛媛


◇原油高騰、地域医療対策、柱に

加戸守行知事は9日、県の9月補正予算案を発表した。一般会計は総額100億4383万円で、原油価格高騰対策▽地域医療を担う医師確保▽三浦工業創始者、故三浦保さんの遺志で県に贈られた株を元にした「三浦保」愛基金を活用し、福祉や環境分野などで県直営事業を展開▽情報・交通基盤整備−−が柱となる。特別会計、企業会計を合わせると159億2479万円で、9月補正予算としては昨年度(56億6640万円)を大きく上回ったが、加戸知事は「原油高騰対策などを除けば、引き続き緊縮型予算」と説明した。16日開会の9月定例県議会に提案する。

一般会計のうち原油価格高騰対策は、中小企業振興資金貸付金のうち、原油価格高騰等・経済変動対策資金に54億円を上乗せする。

その他主な新規事業では、地域医療の医師確保に向け愛媛大に寄付講座を設けるため863万円を計上。「三浦保」愛基金からも「愛媛の救急医療を守る県民運動」推進事業費として250万円を支出し、救急受け入れ患者実態調査や救急医療講習会開催費などに充てる。同基金からは、少子化対策として年内に新設する「えひめ結婚支援センター」(仮称)運営事業費499万円などにも支出する。また情報・交通基盤の整備では、地上デジタル放送難視聴地域解消支援事業費に3850万円を計上した。

特別会計では、県中小企業振興資金特別会計の補正として、えひめ中小企業応援ファンド追加造成事業費に51億円を新規計上し、販路開拓や技術開発の支援などに充てる。【古谷秀綱】

◇プルサーマル計画考慮、核燃料税率13%へ引き上げ 増収22億円見込む−−議会提案へ

9月定例議会には、県核燃料税条例案や県地域医療医師確保奨学金貸与条例案など計28議案が提案される。

核燃料税は原発立地に伴い四国電力から納められる法定外普通税で、79年に新設され5年ごとに延長されてきた。今回は他県に先駆けてプルサーマル計画が実施されることも考慮し、現行税率10%を13%に引き上げる。全国では税率12%が中心で、可決されれば課税方式の違う福島県(税率換算で14%相当)に次ぐ高い税率となる。来年1月15日の施行から向こう5年間の税収は94億円となる見通し。税率据え置きの場合に比べ22億円の増収が見込まれる。

これまでは県事業に使われてきたが、税率アップを機に原発の地元市町(八幡浜市、伊方町)に対する交付金、または補助金としての活用も検討する。使途は放射線監視強化や緊急避難路確保・地域振興のための道路整備などを想定している。【古谷秀綱】