時事通信配信記事 2008年9月12日付

iPS細胞の特許成立=京都大学


京都大は11日、山中伸弥教授が世界で初めて作った人工多能性幹(iPS)細胞の特許が国内で成立したと発表した。特許は山中教授が特定した4つの遺伝子を体細胞に導入してiPS細胞を作成する方法。特許の文言には「体細胞」としか書かれておらず、京大は「ヒトも含まれる」とみている。

世界では3つの遺伝子や化合物で作成する方法の開発が進められている。今回の特許で権利を主張できる範囲について、記者会見した松本紘次期総長らは「判断するのは裁判所」としつつも、「他の権利も確保されていくようにする」と述べた。

京大は2006年12月に特許を国際出願し、今年5月に日本で一部を分割して出願。今回、この分割した特許が認められた。他に約20の国と地域にも出願。国際出願に先立ち、05年12月に国内で出願しており、特許はこの時期にさかのぼって優先されるという。

今後は京大と金融3社が作った特許管理会社が営利企業にライセンスを提供する。非営利機関は無料。会見で京大産官学連携センターの寺西豊教授は「経済的な価値がどう認められるかは分かりかねるが、(スタンフォード大学に多額の利益をもたらした)遺伝子組み換え特許のように成長してもらいたい」と話した。