『神戸新聞』2008年8月29日付

神大大学院に寄付講座 神戸のパルモア病院


パルモア病院(神戸市中央区)が、神戸大大学院医学研究科に寄付講座「こども発育学講座」を開講した。病院を子どもの発育に関する研究拠点と位置づけて、健康の総合的な解析を目指すもので、九月から新生児を対象に先天性の難病を早期発見するための血液検査(スクリーニング)が始まる。民間病院が大学に寄付講座を設けるのは全国でも珍しく、近く胎児期から思春期までの継続調査にも乗り出す。

周産期医療を手掛けるパルモア病院での年間出生数は約千二百人と神戸市全体の一割を占める。治療や診察を通じて子どもの発育や健康を科学的に解明したい大学と、小児医療の発展に貢献したい病院の考えが一致した。

講座の設置期間は今年四月から五年間。スクリーニングは熊本大とも連携し、生後四-五日の新生児から採取した微量の血液を使い、細胞内の酵素が欠損するなどして成人で腎不全になる「ファブリー病」など先天代謝異常の有無を調べる。

また健康調査では、母体をはじめ、胎児期から思春期までの健康状態を継続的に詳しく調べ、アレルギー疾患や自閉症などの発症要因の解明などにも取り組む予定。

講座を担当する神戸大大学院の飯島一誠特命教授(52)は「先天代謝異常には、新生児の段階で対処すれば病気の進行を止められる疾患もある。早期の発見、治療につなげたい」と話している。(今泉欣也)