『北國新聞』2008年9月3日付

教員養成に特化 金大大学院教育学研究科 全国初、来年度改組の見通し


金大大学院教育学研究科が来年度、高度な教員養成に特化した組織に改組される見通しとなった。入学は教員免許取得者に限定し、講義と実習でさらに深い知識を身に付けた教員を地域に輩出する。研究者養成が目的とされる一般的な大学院が「教職大学院」のように教員育成に特化するのは全国初で、関係者の注目を集めている。

国語や理科、障害児教育などに細分化されている現在の十二の専攻を廃止し、「教育実践高度化専攻」(修士課程)に一本化する。

新たな専攻には三コースが設けられるほか、選択外のコースの授業も受講できる。例えば「障害児の体育教育」など、現在は複数の専攻にまたがって十分に学べない分野の学習も容易になるという。地域の学校に出向いての教育実習も導入する。

学級崩壊や学力低下など学校教育を巡る問題が山積し、教員の質向上が求められる中、今年四月には専門職大学院「教職大学院」が全国十九校でスタートした。

ただ、既設の教職大学院は将来の学校管理職候補を養成する意味合いが強いとされる。「教科指導や学級経営、生活指導など学校現場の教育課題に対応できる優れた教員を地域に送り出す」(大久保英哲大学院教育学研究科長)という金大の理念と異なる点もあったため、金大は数年前から文部科学省と協議し、教職大学院ではない新たな大学院のあり方を模索してきた。

大久保研究科長によると、これまでの同研究科修了生のうち教員になったのは約六割。新専攻では修了生の全員を教員とする考えで、「地域の教育を支える先生に大切な姿勢や能力を、新しい教員養成のモデルケースとなる金大で身に付けてほしい」としている。