『読売新聞』神奈川版2008年9月3日付

横浜市大法人評価委 謝礼問題で「運営基盤に大きな課題」


横浜市立大医学部の学位取得を巡る謝礼授受問題について、外部の専門家でつくる同大法人評価委員会は2日公表した昨年度の業務実績に対する評価結果で、「法人運営の基盤そのものに大きな課題を内包していた」と指摘した。

評価委員会は、同大が2005年度に公立大学法人になったのに伴い、地方独立行政法人法に基づき設置された市長の付属機関で、同大の年度ごとの業務実績などを評価している。

昨年度の評価結果では、謝礼問題について「市民の信頼を大きく損なう極めて遺憾なこと」とし、謝礼が慣例化していたことから、大学の体質そのものに問題があったと判断した。内部監査機能の充実やコンプライアンス(法令順守)推進などの取り組みについても「的確に実施したと認められない」と断じた。

また、弁護士らでつくる学位審査対策委員会の最終報告に盛り込まれた教職員の意識改革や職員倫理規定の制定、医局運営の透明性の確保などに全力を挙げるよう求めた。

同大は「評価結果を真摯(しんし)に受け止め信頼回復に全力で取り組む」としている。

元教授人事で抗議書 謝礼問題に絡み、26万円を受け取っていたと認定された元横浜市立大医学部教授の山本勇夫氏(65)が横浜市立脳血管医療センター長に就任したことに対し、患者らでつくる「脳卒中から助かる会」は2日、中田宏市長あてに、不適切な人事でセンターの信用を傷つけるものとする抗議書を提出した。