『読売新聞』2008年8月22日付

和歌山大観光学部、中心市街地進出を断念し学部棟構内に建設
費用や立地面で


和歌山大の小田章学長は21日、観光学部の和歌山市中心市街地への進出を断念し、同市栄谷の現在のキャンパス内に学部棟を建設すると発表した。断念の理由について、小田学長は「経済的な面もあるし、我々の期待が高すぎたこともある」と説明した。

同大は、衰退が進む中心市街地の活性化につながるとして、観光学部の拠点を設置する構想を進めてきた。しかし、当初入居を予定していたビルは、共益費などの面で折り合いが付かず、今春の学部開設に間に合わなかった。

同大は、中心市街地に近い市立伏虎中学校(和歌山市七番丁)の校舎を借りられないかを市に打診。市からは市発明館(同市寄合町)などの活用が提案され、民間からのビル利用の話もあった。しかし、費用や立地と活性化の効果を考えた結果、進出を断念。市や県などにはすでに説明をして、理解を得られたという。

一方で、同大は今年6月、同市本町2の商業複合施設「フォルテ・ワジマ」内にサテライトを開設しており、観光学部の授業も実施する予定。小田学長は「中心市街地と縁を切ることはない」としながらも、「(進出について)食い違いがあった。今のキャンパスに学部の拠点が出来てしまったら、出て行くことは無理」と述べ、将来的な進出にも否定的な考えを示した。

新たに建設する学部棟は、紀州材を利用した木造の建物を検討し、2010年4月からの供用開始を目指したいとしている。

中心市街地への進出断念について、大橋建一市長は「このような結果になり、残念。今後、観光学部との連携会議の設置や学生主体のイベントなどを通じ、活性化に向けて連携を深めていきたい」とコメントした。