『山形新聞』2008年8月22日付

東北がんネットワーク設立へ 医療向上へ24日に総会


東北地方のがん医療のレベル向上を目指し、東北6県の医療関係者が「東北がんネットワーク」を設立する。県や大学、病院間の垣根を越えて、治療法の情報共有や業務の効率化などを進め、「誰でもどこでも質の高いがん医療を受けられる」ための体制を整える。24日に仙台市内で設立総会を開く。

山形大医学部によると、がん医療の3本柱のうち、外科手術以外の放射線治療と化学療法(抗がん剤治療)は米国に比べて遅れており、特に東北地方では、専門医や治療施設の不足が目立つ。また、がん患者のうち放射線治療を受けたのは2005年、宮城の26.9%に対し、本県は19.4%、最も低い福島は17.4%と、東北6県でも取り組みに違いがあり、患者が受ける医療に差が生まれることも指摘されている。

ネットワークは、こうした課題を受け、県や病院単位ではなく、広い枠組みでがん対策を進めるために設立。▽がん登録▽患者情報を複数の医療機関が共有する「地域連携パス」▽がん患者相談室▽緩和医療▽化学療法▽放射線治療−の6つの専門委員会の活動が中心となる。例えば、放射線治療専門医では、共通の治療法の検討や合同症例検討会などを計画している。約30の医療機関が参加する見通しという。

がん医療の連携については、これまでに東北6大学の意見交換会を開いたり、山形大が「東北がん診療連携ネットワーク協議会」設立を提案するなどの動きがあった。各県の医療関係者が昨年8月、東北がんネットワーク設立準備委員会を結成し、本格的な準備を進めてきた。