『読売新聞』秋田版2008年8月22日付

秋田大と県立大で大学院
共同設置へ 8大学・高専は連携事業


秋田大の吉村昇学長は21日、記者会見し、県立大とともに共同大学院の設置に向けて交渉を始めたことを明らかにした。3年後の2011年度の開設を目指す。共同大学院が実現すれば県内では初めて。また、秋田市内の秋田大など国公私立7大学と秋田工業高専が、「秋田学」といった共同講座の設置や共同研究などで連携を図る事業が、新たに文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に採択されたと発表した。県内の大学が連携を進め、研究の充実や学生の確保を強化する取り組みが本格化してきた。

共同大学院の研究内容や設置方法は、今後、両大学で協議して検討する。

県の担当者は、「工学資源の分野に強い秋田大と、システム科学の分野の研究を進める県立大なら得意分野を補完できる」と話し、両大で研究内容の充実が図れるとしている。

共同大学院は、東京農工大と早稲田大が10年度、京都府立医科大、京都府立大、京都工芸繊維大、京都薬科大の4大学が11年度の開設を目指すなど、全国で地域や分野ごとの連携が進んでいる。

一方、戦略的大学連携支援事業が採択されたのは、秋田大、県立大、国際教養大、ノースアジア大、公立美術工芸短大、日赤短大、聖園学園短大、秋田工業高専。事業は3年計画で、文科省から年間5000万円の補助金が助成される。

8大学・高専は、少子高齢化や自殺予防などをテーマに、「秋田学」「秋田戦略学」といった共同講座を開設し、8大学・高専の学生が単位を互換できるようにする。さらに県内の高校生も受講できるようにして、単位を取得すれば、大学入学後に大学の単位として認める方針。今年10月ごろの開講を目指す。

また、8大学・高専で連携してオープンキャンパスや入試説明会などを開き、学生確保につなげるほか、教職員の合同研修会を行い、質向上を図るなど人材養成機能も強化する考えだ。

吉村学長は「大学間の連携を強化することで、秋田の発展、地域活性化に役立つ研究をしていきたい」と話した。