『長野日報』2008年8月20日付

県内8大学ネットワーク講義整備 文科省の連携支援事業に


信州大学(本部・松本市)、諏訪東京理科大学(茅野市)、県看護大学(駒ケ根市)など県内8つの4年制大学が連携する教育プログラムが19日、文部科学省の2008年度戦略的大学連携支援事業に採択された。大学間で授業を共有するICTネットワーク講義システムの整備、学生同士のグループ学習を取り組みの柱とし、実質的かつバラエティー豊かな学びの環境づくりを目指す。

各大学は05年度に単位互換制度を導入したが、通学が難しい県内の広域事情があり、利用者は初年度から19人、16人と低調に推移。より有用性の高い連携策が求められる中で、ICT活用などによる新たな教育プログラムを準備してきた。

構想によると、ネットワーク講義システムは遠隔授業を配信し共有化。映像、音声とも双方向性で教員と学生が質疑応答でき、パソコンデータなどの同時利用も可能になる。他大学の授業を取り込むことで学生の選択肢が増え、基礎学力の補てんも期待されるという。09年度後期から試験的に運用を開始する。

グループ学習は、学生の中から育成する「ピアメンター(学習の推進役)」を中心にグループ内での課題探求を行い、主体的に学習するための意欲を養う。ネットワーク講義システムを生かし、大学を超えたグループ学習や交流も視野に入れて進める。

プログラムでは信大が代表校を務め、08年度内に統括組織「高等教育コンソーシアム信州」を設立。ネットワーク講義の対象授業の集約、単位認定の可能性などについて検討するほか、ピアメンター育成事業を共同実施していく。国支援事業は10年度まで3年期間で、補助金は計3億円。

会見で信大の小坂共栄教学担当理事は「各大学の個性を引き出し、県内高等教育の可能性を広げる取り組みにしたい」と話した。