『信濃毎日新聞』2008年8月20日付

県内の8大学、基礎教育強化で共同組織設立へ


信大(本部・松本市)など県内の8大学は本年度、学生の基礎教育や人材育成などに共同で取り組む「高等教育コンソーシアム(共同運営組織)信州」を設立する。「大学全入時代」を迎え、学生にどう基礎的な知識や思考力を身に付けさせるかは各大学の悩みの種。共通課題での連携を深めることで、各大学が専門分野などで、より個性的な大学づくりに力を注げるようにする狙いがある。

大学間連携を支援する文部科学省の事業に採択されたことを受けて19日、申請代表校の信大などが記者会見した。

コンソーシアムは、各大学をインターネット回線で結び、理数系の基礎科目や、コミュニケーション能力を高めるための日本語の授業などを相互に配信する。8大学共通の副専攻として「環境」をテーマにした授業を配信する案も挙がっている。

人材育成では、自主性を引き出すグループ学習の推進役を育てるため、希望する学生らによる「育成キャンプ」を開く。各大学の教員が共同で英語などの教育法の研究にも取り組む考えだ。

文科省の支援事業は本年度から3年間で、補助額は年間最高1億円。8大学はコンソーシアムを設立後、各大学を結ぶ基盤整備を進め、来年度には試験的に授業の配信を始めたいとしている。

信大松本キャンパスで会見した同大の小坂共栄副学長は「(2010年度末までの)2年半で連携の土台をつくりたい」と説明。同席した松本歯科大(塩尻市)の森本俊文学長は「教養教育の幅も広げられる」と期待を示した。

また松本大(松本市)の住吉広行学長代行は「高等教育の質を高め、若者が県内の大学で学び、地域のリーダーとなれるようにしたい」と強調した。

文科省の支援事業は、大学運営基盤の強化や教育プログラムの共同開発などが対象。全国から94件の応募があり、一橋大と慶応大による共同大学院設置構想など計54件が選ばれた。