『河北新報』2008年8月20日付

岩手の5大学 共通キャンパス10年開始目指す


連携拡大を検討してきた岩手大(盛岡市)など岩手県内5大学は19日、共通キャンパスの設置などに取り組む「いわて高等教育コンソーシアム」を10月までに設立すると発表した。「地域をリードする人材の育成」「大学進学率の向上」「地域社会への貢献」を柱に、岩手の知の拠点づくりを進める。

ほかに岩手医大(盛岡市)、岩手県立大、盛岡大(ともに滝沢村)、富士大(花巻市)が参加する。

共通キャンパスはJR盛岡駅西口の公共施設にある県立大アイーナキャンパスを使い、2010年度スタートを目指す。各大学に遠隔講義システムも設け、既に始めている単位互換の枠を広げる。

共通キャンパスでは高校生らを対象にした公開授業の実施も検討し、大学進学率の向上につなげる。各大学の特色を生かした生涯学習講座も行い、地域や県民の活力アップも図る。

将来的には連携をさらに発展させ、仮想の「イーハトーブ大学」をつくる構想もある。

学生たちが岩手の文化や歴史など「岩手学」を学び、地域リーダーを育てるプログラムで、14年度からのスタートを見込む。

コンソーシアム設立は19日、文部科学省の戦略的大学連携支援事業に採択されて決まった。岩手大の藤井克己学長は同大で開いた記者会見で「5大学で13学部あるが、同じ名前の学部は一つもない。教員と学生の学習の場が広がるとともに、研究面でもつながりができる」と期待した。