『四国新聞』2008年8月20日付

徳島文理、香川、県立保健医療/共同大学院設置へ


文部科学省が2008年度からスタートした「戦略的大学連携支援事業」に、19日、香川大など香川県内の医療系学部を持つ3大学が連携し、高度な技術や知識を身に付けた医療人材を養成する構想が採択された。共同大学院などを設置し、地域のニーズに応えられる医療教育システムの構築を目指す。また、香川大など四国3県の7大学が、統一の一般教養科目として四国の歴史や伝統・文化などをテーマとした「四国学」を設ける取り組みも選ばれた。

文科省の同事業の期間は10年度までの3年間。全国で54件が採択され、1件あたり毎年1億円を上限に助成される。

医療人材の養成構想は、代表校の徳島文理大香川薬学部・工学部(香川県さぬき市)と香川大医学部(香川県木田郡三木町)、県立保健医療大(香川県高松市)が連携。近年、医師や看護師、薬剤師らがチームを組んで高度な医療を行うことが求められる中、それぞれを目指す学生が他の医療専門分野を学習し、医療人としての幅を広げる。

共同大学院は、2年間の修士課程で、医療全般を学ぶ新しい研究科の創設を想定。早ければ11年度の設置を目指しているが、08年度中にも文科省が示す具体的な方針を踏まえて詳しい検討に入る。

他の取り組みでは、▽各大学の教員派遣や遠隔講義システムによる共同授業▽社会人教育▽医療情報の共有化システムの構築―などを進める計画で、共同授業は早ければ9月にも始めるという。

徳島文理大の桐野豊学長は「全国でも初の試み。医療人材の優れた養成教育拠点ができれば、県民に手厚いケアができることも示したい」としている。

一方、香川大のほか、高知、徳島両県の大学で行う「四国学」は郷土愛や地域に根ざした人づくりが主な狙い。このほか、各大学で地域のニーズに応じた研究教育を新たな専門科目として設ける。講義はあらかじめ収録したビデオや遠隔講義システムなどを利用し、将来的には生涯学習や社会人教育にも活用する方針。