『岩手日報』2008年8月13日付

共通キャンパス設立へ 県内5大学


岩手大、県立大、岩手医大、富士大、盛岡大の県内5大学は2011年度をめどに、全13学部が連携した「イーハトーブキャンパス」を設立する。地域の中核を担う人材育成が目的で、他大学との単位互換などを通じて幅広い教養を身に付けることができる仕組みを整える。学生のほか県民にも門戸を開放。単位互換を促進する遠隔講義システムの構築や岩手学講座の共同開講、生涯学習の場提供など、「地域に開かれたキャンパス」を目指す。

5大学によるイーハトーブキャンパスは、盛岡市のいわて県民情報交流センター(アイーナ)を共通キャンパスとし、学生らが幅広い教育分野を自由に学べる環境を整備する。

同キャンパスの目的は▽教職員の教育力、受講生の地域還元力向上▽教育研究環境の基盤整備▽知の拠点形成▽高校への教育を通じた大学進学率向上▽地域の活性化―など。

具体的な取り組みとして▽各大学、高校へ授業配信できる遠隔講義(テレビ会議)システムの構築▽教職員の能力開発研修の共同実施▽岩手学講座の開設▽平泉や宮沢賢治など地域文化研究の推進▽生涯学習の場の提供―など20事業を計画。単位互換の対象科目については今後、検討する。

14年度からは、同キャンパスで計8科目16単位程度を4年間で取得した場合、卒業証書を授与することも検討。地域リーダーを目指す学生、県民の励みとする。

5大学はこれまで、2000年に「いわて5大学学長会議」を設立し、一部科目での単位互換や図書館の相互利用、高大連携事業などを進めてきた。

共同事業は連携強化が目的で組織統合は計画していない。5大学は事業推進に当たり、文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に申請。3カ年事業で、採択されれば毎年約1億円ずつ助成される。

岩手大の斎藤徳美理事・副学長は「5大学が連携した教育研究機能の強化は『岩手づくり』に重要だ。目指す方向が共有されたことの意義は大きい」と意欲を示す。